【U-22日本代表】五輪アジア1次予選突破への3箇条――ミャンマー戦に見る収穫と課題

2015年03月12日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

バラエティに富んだパターンで得点を重ねていった。

シンガポール戦に続き大量得点で勝利した日本。中島(写真)、鈴木が4点ずつを奪う爆発力を見せたが、他のアタッカー陣がゴールにあまり絡めなかったのは課題だろう。(C) SOCCER DIGEST

 3月23日に開幕するリオデジャネイロ五輪のアジア1次予選(U-23アジア選手権予選)に向けた壮行試合で、U-22日本代表はミャンマーを相手に9-0の完勝を収めた。圧倒的な力の差を見せつけたゲームで、チームはいかなる収穫と課題を得ることができたのか――。予選突破に向けてキーとなる3つのポイントを考察した。
 
【U-22日本代表|PHOTOギャラリー】 日本 9-0 ミャンマー

【U-22日本代表|PHOTOギャラリー】 リオ五輪アジア1次予選メンバー
 
1.引いた相手を崩し切る多彩なアプローチ
 
 1次予選の相手はマカオ、ベトナム、マレーシア。いずれも実力的に日本が劣るとは考えにくく、主導権を握る展開が予想される相手だ。手倉森誠監督も「引いた相手を破って点が取れるサッカーを披露したい」と、相手が守備的に戦ってくることを前提に考えて今回のメンバーを選んでいる。
 
 その意味では、ミャンマー戦は一定の手応えを得ることができたと言えよう。8分の先制点は相手GKのキャッチングミスから生まれたが(こぼれ球に素早く反応して押し込んだ鈴木武蔵のゴールへの高い意識は評価できる)、その他は実にバラエティに富んだパターンで得点を積み重ねていった。
 
 13分の追加点は山中亮輔→荒野拓馬→鈴木とテンポ良くつないで最後は中島翔哉がねじ込んだもの。41分のニアゾーンに侵入した鈴木のハットトリックとなるゴールも、そこに至るまでの崩しはダイレクトプレーを織り交ぜた連動性のあるものだった。
 
 サイド攻撃も冴えを見せる。25分には左SBの山中、51分には右SBの松原健がそれぞれ正確なクロスを供給し、どちらも鈴木が得点に結び付けている。60分には途中出場の野津田岳人の鋭いクロスを、中島が頭で合わせて自身4点目をゲットした。
 
 さらにセットプレーでは、21分のCKを岩波拓也が打点の高いヘッドで叩き込むと、前半終了間際には素早いリスタートから中島が巧みなループを決めてみせる。
 
 その他、42分の中島のゴールは遠藤航の狙いすましたスルーパスで中央をこじ開けた形であり、たしかに相手の稚拙な守備があったとはいえ、実に多様なアプローチでミャンマーゴールに襲いかかり、確実に仕留めてみせた。
 
「前半はミスが多かったけど、奪った後の(ボールを)前に付けるところとか、チームとして早い攻撃もできたし、ボールを動かして(相手を)崩しながら点も取れた。攻撃のオプションは出せたと思う」(遠藤)
 
 もっとも、9得点の内訳を見れば、鈴木と中島が4点ずつ、岩波が1点と「柔軟性をテーマにした時に、他の選手たちもゴールに絡まなければならない」(手倉森監督)のは課題として残った。それでも、本番に向けた"リハーサル"としては上々のパフォーマンスだったし、選手たちも自信を深めたに違いない。

次ページボールに食らいつきすぎたあまり不用意にスペースを与えてしまった場面も。

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