「チームを勝たせる10番になりたい」2学年上の相手から2発!U-16日本代表FW、内藤大和の飽くなき向上心

2020年09月25日 安藤隆人

「筋トレを始めて、コロナ期間も黙々と続けたら4キロ増やすことができた」

U-16日本代表の得点源となっているFW内藤。U-17W杯出場権獲得へ意欲を燃やす。写真:徳原隆元

 9月21日から22日までの2日間で行なわれた2020 SBSカップドリームユースサッカー。新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、通常であればU-18日本代表と静岡ユース(静岡県選抜)に加え、海外の年代別代表チームを招いて行なわれる予定だったSBSカップ国際ユースサッカー(8月中旬開催)が中止。その代替大会として海外のチームは招聘せず、清水エスパルスユースとジュビロ磐田U-18、そしてU-16アジア選手権(来年初旬に延期)を控えるU-16日本代表が参加し、4チームによる一発勝負のトーナメント方式で行なわれた。

 2学年上の相手との戦いとなったU-16日本代表は、初戦で清水ユースに1-3、3位決定戦では静岡ユースに1-2で敗れて2連敗で終わったが、2試合連続ゴールで気を吐いたのが、今回10番を託されたFW内藤大和だった。

「チームでもつけたことがないのですが、チームを勝たせられる10番になりたい」

 清水ユース戦は後半からの出場だった。この時、すでに2点のリードを許していたが、後半開始早々の3分(40分ハーフ)に3失点目を喫した。「何かを変えないと思って、攻撃のリズムを作ろうとした」と、内藤は前線でフィジカルの強さと懐の深いボールキープで起点を作る。さらに「中1の時からJリーグ選抜やエリートプログラムで一緒にやってきたので通じ合っている」と語るFW南野遥海とのコンビネーションで徐々に前の推進力が生まれて行った。

 53分に森山佳郎監督はドリブラーの髙橋隆大を投入し、さらに攻撃のギアを上げると、60分、髙橋のドリブルで敵陣に攻め込むと、右サイドでボールを受けたDF石川晴大のクロスをニアに飛び込んだ内藤がワンタッチで合わせて一矢報いた。

「あと2点必要だったので、1点入った瞬間は嬉しいというより、『もう1点、もう1点』としか頭になかった」

 試合後、勝利できなかったことに悔しさをにじませた。だが、身体つきの変化について聞かれると、「中3の12月にイングランドと戦って0-5と大敗を喫して、僕も前半で交代。本当に何もできないというか、相手にパワー、スピードに圧倒されて、自分の意識が変わった。フィジカルが通用しなくてショックを受けたので、筋トレを始めて、コロナ期間も黙々と続けたら4キロ増やすことができた」と、ギラついた目で答えた。

 ゴールと自身の成長に飢えたストライカーは、スタメン出場した静岡ユース戦でも20分にDF池谷銀姿郎が一発レッドで退場し、2点のリードを許す苦しい展開となったが、「10人になって監督から『人の1.2倍走れ』と言われていたので、走るだけではなく、声でみんなを動かせるようにしようとスイッチが入って気持ちで戦った」と前線で気迫を前面に出して存在感を放った。

 64分にはカウンターからMF北野颯太のスルーパスに抜け出すと、「GKの動きが最後まで見えていて、最初は右側を狙おうと思ったけど、GKが右に重心をかけていたので、キックの瞬間に足首を変えて股を狙いました」とギリギリで判断を変える技ありのゴールを決めた。

 2ゴールとも勝利には結びつかなかったが、「個人で何とかしてやろうというのを示してくれた」と森山監督が評したように、彼の気迫とフィジカル、技術の成長ぶりは04ジャパン(2004年生まれ以降の代表)にとって大きな光となった。
 

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