天性のストライカー興梠慎三の凄み…大久保嘉人、佐藤寿人、西川周作らの言葉から読み解く

2020年09月10日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「興梠は撮っていて面白いんだよね

15節の鳥栖戦で今季3点目をゲット。J1通算150ゴールを達成した。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 J1通算得点ランキング1位(185点)の大久保嘉人と2位(161点)の佐藤寿人が「エースで思い浮かぶ選手」と聞いて、真っ先に挙げたのが興梠慎三だった。

「ひとつのチームで長年、活躍している選手って少なくなっている。『このチームのエースは誰?』と聞かれた時に、パッと出てこないことが増えている」(佐藤寿人)。そんなご時世で、興梠は浦和に加入した13年シーズンから7年連続で二桁得点(鹿島時代も含めれば8年連続)。今季3節の仙台戦には、浦和では史上初となるクラブ通算100ゴールを決めた。

 毎年コンスタントに結果を出し続ける、その継続性こそがエースたるゆえんだ。

 同僚のGK西川周作からは「チームが苦しい時間帯でゴールを決めてくれる。本人に面と向かっては言えないけど、味方として頼もしいし、すごく助けられている。彼がいるのといないのでは自分たちのサッカーが変わるくらい影響力が強い」と称賛される。

 ふたりの偉大なストライカーからも認められ、チームメイトの守護神から絶大な信頼を寄せられる浦和のエースは、9月9日、第15節の鳥栖戦でついにJ1通算150ゴールを達成した。史上6人目の偉業である。

 本人は試合後に「PKかこぼれ球以外で決めたかった」とおどけたが、記念すべき150点目は、相手GKの弾いたボールに素早く反応して決めた、嗅覚が光るゴールだった。
 
 興梠の真骨頂と言えば、この嗅覚と鋭い動き出しだ。

 あるカメラマンは言っていた。

「興梠は撮っていて面白いんだよね。普通の人とは違う動きをするから収めるのが難しいんだけど、その分良い写真が撮れた時には嬉しさも倍になる」

 確かに、その絶妙なポジショニングと嗅覚は天性のものを感じさせる。

 その才能は、同じプロ選手でさえも唸らせる。今年6月に雑誌「サッカーダイジェスト」で現役Jリーガーに「天才だと思う選手」をアンケートした際には、「ゴールを奪うための動き出しが上手い」(鈴木武蔵/当時札幌・現ベールスホット)「相手に捕まらない動き方などセンス抜群」(城後寿/福岡)などの意見が寄せられた。

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