夢のJ参入へ着々と前進!「百年構想クラブ」認定の“リアル”南葛SC、岩本義弘GMが考える三位一体戦略

2020年09月07日 伊藤 亮

Jクラブになるための条件は「組織とハード、透明性」

南葛SCのゼネラルマネジャーを務める岩本氏。クラブのJリーグ参入へ様々な課題と向き合う日々だ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 新型コロナ感染拡大の余波により、変則的な2020年シーズンを戦っている南葛SC。そのクラブは今年2月25日、Jリーグ参入への登竜門となる「Jリーグ百年構想クラブ」として認定された。夢への第一歩を踏み出したクラブだが、「Jリーグ」という目的地への到達は、単にカテゴリを上げるだけでは実現できない。

 スタジアムや地元の理解など、ピッチ外でも課せられた条件をクリアしていく必要があるのだ。そんな南葛SCにおいて、クラブ組織を整え、スタジアム建設交渉を行ない、条件の一つひとつに現場で向き合っているのが、岩本義弘GMである。

 いまだかつてどのクラブも成し得ていない「東京23区からのJリーグ入り」。今回は、この壮大な目標に対するチーム内外の具体的な取り組みについて聞いた。第1回は対外施策について。そこには、南葛SCだからこその強みを活かした戦略があった。

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 2020年シーズン、Jリーグに所属するクラブ数は56。そして全国にはJリーグ入りを目指すクラブが数多存在する。この2月に「Jリーグ百年構想クラブ」に認定された南葛SCもそのひとつだが、「東京都23区からのJリーグ入り」を目指すという点では、注目度も難易度も高い。

 この壮大な構想の実現に向け、最前線で奔走するのが同クラブの岩本義弘GMだ。長年、専門誌の編集長を皮切りに解説者、インタビュアー、そして経営者としてサッカー業界に携わってきた知見を総動員して取り組んでいる。

「幸いなことに、僕自身がサッカー業界にいて様々なクラブとお付き合いをさせていただいてきた経験から、Jクラブになるために必要な基本情報は頭に入っていました。必要なことは大きく分けて3つ。組織とハード、そして透明性です」

 組織とはクラブ強化と運営、ハードとはスタジアム、そして活動が内外ともに可視化されているのが透明性と言える。

 このうち、再難題と言えるのがハード、つまりスタジアム問題だ。
「Jクラブ入りを目指す他のクラブよりも進んでいる自信はありますが、実現までにはまだまだハードルがあります。Jリーグの基準を満たしたクラブと、行政がこれまでのラインで作るスタジアムがマッチしていない。そこをどうクリアしていくかだと思います」

 前回のインタビューでは、地元の葛飾区議会で正式にスタジアム設立の案件が議題として挙がったところまで話を聞いた。その後、話はさらに進んでいる。

「葛飾区から予算をいただいて、区の土地の調査と全国のスタジアムの調査をスポーツ専門の建築士の方にも入っていただき、30ページほどの資料を作成しました。それを今年の3月に提出し、4月の区議会で区長が具体的な話をしています。完全にオフィシャルの話として検討され始めていて、一歩一歩前進しているのは間違いありません」
 

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