「クーマン就任やスアレス退団が原因ではない」メッシがシティとグアルディオラに未来を託す理由【現地発】

2020年08月28日 エル・パイス紙

「レオは病的なほど負けることを嫌う」

バルサに別れを告げたメッシは恩師ペップ(右)が率いるシティに向かのか。 (C)Getty Images

 リオネル・メッシがバルセロナ退団を決意した背景にあるのが、極度の負けず嫌いな性格だ。関係者もこう証言する。

「レオは病的なほど負けることを嫌う。そんなときは部屋に閉じこもって、誰にも会おうとしない」

 にもかかわらずこの9シーズン、メッシが所属するバルセロナがチャンピオンズ・リーグを制覇したのは2度だけだ。ちなみにライバルのクリスチアーノ・ロナウド(現ユベントス)は同じ期間いずれもレアル・マドリ―で4度欧州王者に輝いている。

 しかもこの間、バルサは弱体化する一方だった。とりわけメッシにとってショッキングな出来事だったのが2017年夏のネイマールの退団(パリ・サンジェルマンへ)で、同時に引き留め工作に全力を尽くさなかったとしてフロントへの不信感を芽生えさせた。
 
 それからもプライベートで、あるいは公の場で戦力のテコ入れの必要性を訴え続けた。さらに「外から加入する選手は迅速に適応するのが困難だ」という自己分析をもとにカンテラ重視のチーム作りを奨励し、外部から獲得する新戦力は一線級の選手に限定すべきだと主張した。

 しかし過去3シーズン、バルサは7億8900万ユーロ(約986億円)を市場に投じたが、その間加入した新戦力の中で期待に応えることができているのはクレマン・ラングレだけ。フレンキー・デヨングとアントワーヌ・グリエーズマンの2選手については、2年目以降の本領発揮に期待がかかるという状況だ。

 その一方で、カンテラから昇格した若手でインパクトのある活躍を見せているのはアンス・ファティのみだ。ファンの期待の高いリキ・プッチについては、クラブ内でその実力を疑問視する声がいまだに消えない。

 そんな中でも国内においては強さを発揮し、ラ・リーガ連覇を果たしていたが2019-20シーズン途中にフロントはその立役者だったエルネスト・バルベルデ監督を解任した。ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長は、事前にジェラール・ピケ、セルジ・ロベルト、セルヒオ・ブスケッツの3選手と面会し、意見を聞いたうえで決断に踏み切った。

 しかし「チングリ(バルベルデの愛称、バスク語で蟻の意)とレオは素晴らしい関係を築いていた」とクラブ関係者が語るようにバルベルデは、メッシにとって良き理解者だった。その指揮官の突然の解任劇は、10番に大きな傷を残した。
 

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