【水戸】「『諦める』って悪い表現のように聞こえるけど…」攻撃的スタイルが導くCBンドカ・ボニフェイスの進化

2020年08月24日 佐藤拓也

「下げるな! 下げるな!」とディフェンスラインを統率するンドカ

今季は13試合で先発し、3得点をマークするンドカ。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J2リーグ14節]水戸2-3長崎/8月23日(日)/ケーズデンキスタジアム

 水戸ホーリーホックの秋葉忠宏監督が「スペシャルなゲーム」という位置づけで挑んだ一戦だった。「首位のチームを叩いて、今季初の連勝を挙げてチームを上昇気流に乗らせたかった」と語る。しかし、首位チーム相手に一度は逆転に成功するなど、あと一歩まで追い詰めながら、2-3で敗戦を喫した。それでも「首位のチーム相手に堂々とアグレッシブに最後まで勝負に行ったことは素晴らしかった」と攻撃的な姿勢を崩さずに戦い抜いた選手たちの奮闘を称えた。

 長崎の攻撃は力強かったものの、水戸は高いディフェンスラインを維持しながらハイプレスをかけ続けた。「下げるな! 下げるな!」その声を発し続けたのはCBのンドカ・ボニフェイスだ。

 ナイジェリア人の父と日本人の母の間に生まれた埼玉県出身のDFは、浦和東高、日本体育大と進み、2018年に水戸に加入した。U-16日本代表候補にも選ばれていた有望株だ。

 両手を広げながら全体を押し上げる姿を何度も見せてチームに積極性をもたらし続けるその姿勢こそ、13節終了時点でシュート数1位、リーグ4位の得点力を生み出すチームの原動力となっている。(14節終了時も総得点22で4位タイに付ける)
 
「引いて前向きに守備をすれば、DFの仕事量は減ります。でも、今季の水戸はハイラインにしているので、前を潰しながら後ろのスペースもケアしないといけなくて、DFの仕事量は多いんです。でも、その守備ができれば、どんな場面でも対応できるようになると思っています。なので、すごくポジティブに取り組ませてもらっています」

 攻撃的なサッカーを標榜する今季の水戸において、高さと強さ、そしてDF裏のスペースをケアするスピードを併せ持つンドカの存在は大きい。さらに今季のンドカには、昨季からの大きな変化が見られる。

 それは警告数だ。昨季は18試合に出場して、警告3枚と退場2回を受けるなど、気持ちが前のめりになり、不用意なファウルを犯してしまうことが多かった。だが、今季は14節終了時で警告・退場ともに"0"。苦しい状況でも冷静に対応できるようになっている。その理由について、「自分の能力を過信しなくなったことがある」と説明する。
 

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