香川の調子は右肩上がりで、強いドルトムントが帰ってきた――ルールダービーを【ポイント解説】

2015年03月01日 遠藤孝輔

香川の精緻なスルーパスは特筆に値。

1)香川の明らかな復調傾向
 
 最終的なスコアは3-0、シュート数はドルトムントの31本に対しシャルケはわずか3本――。ブンデスリーガ23節のルールダービーは、3連勝中と波に乗るドルトムントが、宿敵シャルケを完膚なきまでに叩きのめす衝撃のワンサイドゲームに終わった。
 
 MOMをひとり挙げるのは、きわめて難しい。敵DFラインの裏を幾度となく突いただけでなく、78分に殊勲の先制点を奪ったオーバメヤン、自慢のフィードと1対1の守備対応が冴え渡ったフンメルス、セカンドボールに対する抜群の反応を見せつづけ、79分にチーム2点目を好アシストしたギュンドアンは、いずれも甲乙付けがたいハイパフォーマンスを披露。前線でのプレスをサボらず、GKのミスを誘ってダメ押しの3点目を決めたロイスも、崩しの切り札の役割を全うした。
 
 目に見える結果に直結しなかったとはいえ、76分にピッチを退いた香川も輝きを放ったひとり。特筆に値したのは精緻なスルーパスで、オーバメヤンがGKとの1対1を迎えた4分の決定機や、ロイスのシュートが枠のやや左に外れた36分の好機など、多くのチャンスを演出した。
 
 敵2ライン(DFとMF)間でのポジショニングが絶妙なうえ、球離れが良く、チャンスメーカーとしての機能性は十分だった。GKの頭上を抜いた16分のシュートミスこそ悔やまれるが、明らかな復調傾向はこの大一番でも確認できた。

【写真】香川真司「再デビュー」の1日

【写真】香川真司 IN ドルトムント2010-2012
 
2)非の打ち所がなかった守備
 
 ほとんど出番がなかったGKヴァイデンフェラーを除く全員が出色の出来栄えだったドルトムントは、組織の完成度においても非の打ち所がなかった。とくにディフェンス面だ。
 
 枠内シュートを1本も浴びなかったうえ、被シュート3本のうち2本は8分までに許したものと、シャルケが誇るFWのフンテラールとシュポ=モティングを完璧に封じ込めた。
 
 ハマったのは十八番のゲーゲンプレッシングだけではない。前線で囲い込めない時は、冷静にシャルケのパスコースを遮断するか限定。ショートパスによる丁寧な組み立てを許さず、相手に苦し紛れのロングボールという選択を強いる場面が少なくなかった。
 
 チャンピオンズ・リーグとの過密日程を消化しながら、90分間を通してハードワークを厭わず、攻→守の切り替えスピードが落ちなかった点も堅守構築の要因に挙げられるだろう。
 
 強いドルトムントが、ついに帰ってきた――。

次ページ疑問を残したディ・マッテオの采配。

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