「こんな無責任な話があるか」試合直前に“10人陽性”の相手を名門サンパウロが猛烈批判!ブラジル全国選手権はカオス状態【現地発】

2020年08月13日 リカルド・セティオン

検査結果が届いたのはキックオフ3時間前

ゴイアスの対応を猛烈に批判したのがこのD・アスベスだ。(C) Getty Images

 ここ2か月、一日の平均死亡者数が毎日1000人を超えているブラジルで、カンピオナート・ド・ブラジル(ブラジル全国選手権)が開幕した。しかし、そのスタートは第1節から混沌としている。

 ブラジル・サッカー連盟(CBF)は、この8月9日に何が何でも全国選手権を開始したかった。そのため25ある州選手権は、まだコロナが収束していないなかで、試合を消化する必要に迫られた。しかし、本田圭佑が所属するボタフォゴは、対戦相手がまだ州リーグの試合を全て終えていないため、開幕節は延期となった。

 それよりももっと大きな問題となっているのは、ゴイアス対サンパウロの試合だ。

 この試合はゲーム直前になって延期となった。その理由はゴイアスの23人の選手のうち10人がPCR検査で陽性だったからだ。CBFのプロトコルでは、全選手が試合前に検査を受けなければならない。しかし、その結果が出たのは、なんとキックオフのわずか3時間前だったのだ。
 
 しかも、ゴイアスはすぐにこの事実をサンパウロ側に告げなかった。試合のTV放映権はホームチームの大きな財源となる。入場料収入が見込めない今は、ほぼ唯一の収入源だ。ゴイアスはこの試合をどうしてもキャンセルしたくなかった。

 しかしチームには13人の選手しか残っておらず、リーグの規定である、最低でも11人の選手に5人の控え選手の条件を満たしていない。そこでゴイアスはユースチームから選手を呼んで、陽性だった10人の選手の代理にたてようとした。

 しかし彼らを選手登録する時間はなかった。そもそも陰性だった選手も、陽性のチームメイトとともにプレーしていたわけで濃厚接触者である。彼らもピッチに立つことはできない。それがわかると、ゴイアスは、サンパウロの不戦勝にならないようスポーツ裁判所に訴えて試合のキャンセルの手続きをとり、その後ようやく対戦相手のサンパウロに事実を告げた。

 延期が決まった時、すでに両チームの選手たちはロッカールームに入っていた。ゴイアスの13人の"陰性"選手も本来なら隔離されるべきなのに、スタジアムに来ていたのだ。
 

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