【松本】3連敗で16位の苦境も、敗戦に射した“一条の光”。昇格組・北九州との一戦に見えた好材料

2020年08月03日 大枝 令

再開後の8試合はわずか1勝

加入3年目で初ゴールとなった中美。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[J2リーグ9節]松本1-2北九州/8月2日(日)/サンプロアルウィン

 松本山雅FCが不振に陥っている。再開後の8試合はわずか1勝で、J2では2013年以来2度目となる3連敗中で16位。昇格組のギラヴァンツ北九州を迎えた前節も相手の勢いを押しとどめることができず、セットプレーなどで2失点した。布啓一郎監督は「後半の勝負どころでまた失点した。耐え切れない弱さが露呈したゲーム」と振り返った。

 その前のFC町田ゼルビア戦は、いいところなくからめ取られて0−2と敗れていた。リバウンドメンタリティを発揮すべく、北九州戦は強い決意で臨んだ。CKの守備を従来の慣れ親しんだマンツーマンからゾーンに変更するなど、苦心の跡が窺えた。しかしゾーンディフェンスの構造的な弱点を突かれ、セカンドボールを拾われての失点。あがいても、もがいても、なかなか報われない。

 もちろんケガ人が多発しているなどの理由はあるが、それも含めてのチーム力。とはいえ、浮上に向けた好材料が全くないわけでもない。「一条の光」とも言えるのが、交代出場から93分に決めた中美慶哉のゴールだ。
 
 加入3年目でようやく生まれた初ゴールに、「今まではスタメンで『やってやろう』という気持ちで力が入りすぎていた。今日は力が逆に抜けていてよかったと思う」と中美。J1時代の昨季には、13試合ぶりに先発復帰した26節・ヴィッセル神戸戦をはじめ、力むあまり絶好機を逃してしまう場面は少なからずあった。2年前の大宮アルディージャ戦では、闘志が裏目に出て一発退場の憂き目にも遭っている。

 しかしこの日のゴールは違った。CKのこぼれ球を拾ったペナルティエリアの外から、しなやかなフォームで利き足とは逆の左足を一閃。「こぼれ球を予想していた。思い切り迷いなく振り抜けた」というイメージ通りのシュートを決めた。これで肩の荷が降り、よりのびのびとプレーできるかもしれない。
 

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