U-19日本代表がコロナ禍の日本サッカー界で初の代表合宿。10月のアジア選手権へ練習の濃度がカギ

2020年07月17日 松尾祐希

タクシー移動、PCR検査、ホテル内の行動制限…

U-19日本代表の指揮を執る影山監督。10月のU-19アジア選手権を見据えて、ウイルス感染対策など入念な準備のもとで合宿の開催を要望した。写真:徳原隆元

 来年5月のワールドカップを目指し、"影山ジャパン"がリスタートを切った。

 U-19日本代表は7月11日から千葉県のJFA夢フィールドで候補合宿を行なった。01年生まれ以降で構成されるチームが目指すのは、来年5月にインドネシアで開催されるU-20ワールドカップ。今年10月には出場権を懸けてU-19アジア選手権に挑むが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で代表活動は昨年11月の同大会予選以来となる。チームとして動くのは実に244日ぶりで、日本サッカー界にとってもコロナ禍で行なう初の代表合宿となった。

 そうした状況下を鑑み、今キャンプではJFAが策定した独自のガイドラインをベースにして、ウイルス対策に取り組んだ。

「U-19代表がトレーニングキャンプを行なうにあたり、(JFAのガイドラインに加え)JFAの医学委員会の方でも育成年代の活動を実施するために特別なガイドラインを作成してもらいました。安心、安全で活動を行なうことが第一優先。そのガイドラインに乗っ取って活動を行ないたい」

 影山雅永監督がメンバー発表時に話した通り、細かいルールを設けた。代表に合流する際は主要駅から施設までの公共交通機関の使用を禁止。関東圏の選手は"JFA夢フィールド"まで所属クラブスタッフに送迎してもらい、他地域の選手にはタクシーでの移動を求めた。

 到着後はPCR検査を受け、判定が出るまで自室で待機。また、ホテル内での行動も制限し、他部屋への訪問を自粛や、同じ空間で行なうミーティングや食事も十分な距離を取って行なった。練習中も給水時は選手ごとにボトルを分け、屋外のミーティングはソーシャルディスタンスを確保した上で実施。U-19代表の取り組みはA代表やU-23代表などにも適用されるはずで、全カテゴリーの活動において参考になるのは間違いない。

 今までとは異なる環境で再スタートを切ったU-19日本代表。入念な準備をしてでも活動を再開させたかったのは、冒頭でも挙げたように今年10月にU-19アジア選手権を控えているからである。昨年のU-20ワールドカップに出場した前回のU-19代表は本大会直近の10か月で海外遠征を4回、国内合宿を1回実施していた。一方、今回のチームは今年に入って一度も活動をしていない。情勢を見極めながらではあったが、「もともと7月は活動を予定していました。(コロナウイルスの影響で)Jリーグが連戦になってしまったが、最低でも3日間はキャンプをしたい」という指揮官の要望で今回のキャンプが実現した。
 

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