大阪ダービーでガンバを粉砕! ふたつのゴラッソは千両役者の“優しいパス”から生まれた

2020年07月05日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

智将ロティーナも「素晴らしかった」と絶賛

大阪ダービーできらりと輝いた清武。コンディションはすこぶる良さそうだ。写真:田中研治

[J1リーグ第2節]G大阪 1-2 C大阪/7月4日/パナスタ

 どちらも目の覚めるような、圧巻のゴラッソだった。

 土曜日夜にパナスタで開催されたのは、大阪ダービー史上初となる無観客の"リモートマッチ"。セレッソ大阪は前半終了間際に奥埜博亮のゴールで先制すると、守勢に立たされていた62分にも丸橋祐介のミドルシュートで追加点を挙げ、その後はガンバ大阪の反撃をPKによる1点に封じ込んだ。2-1というスコア以上の差を見せつけて、大阪ダービーの敵地では17年ぶりとなる白星を上げたのである。

 攻撃の急先鋒となったのはほかでもない、エースの10番・清武弘嗣だ。

 4-4-2システムの左サイドハーフを基本ポジションに、キックオフ直後からガンバ守備網のポッカリと空いた中央のスペースを幾度となく突いた。ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は「清武が中央寄りにポジションを取るのは珍しいことではない。空いたスペースを確実に突いているだけで、この試合に限った話じゃない」と説明し、「(75分に)交代するまで素晴らしかった。彼の出来が良ければ、チームに良い効果を与えるんだ」と賛辞を贈った。

 前半アディショナルタイム、先制点の場面。ガンバ守備陣の重心がグッと右サイドに偏るのを見極めた清武は、左サイドを駆け上がるSB丸橋に対して、ダイレクトでクロスを上げられる完璧なスルーパスを送る。これがすべてだった。

「練習から取り組んできた形でうまくつながった」と振り返る丸橋が、グラウンダーのクロスを中央へ送ると、相手CB三浦弦太の背後から忍び寄ったのが奥埜だ。「(ニアに)行くと見せかけて残ったところにボールがきっちり来た」と回顧するストライカーが、迷うことなく左足でインパクトし、豪快にねじ込んでみせた。3人が3本のダイレクトプレーで鮮やかに共鳴した、ファインゴールだった。

 
 リードを2点に広げたシーンでは、セレッソの攻撃4枚に対してガンバは守備7枚。そこを今度はパワフルにこじ開けた。

 右サイドのスローインから、奥埜と都倉賢が粘ってボールをキープし、下げたボールを松田陸が裏のスペースへすかさずロビングパス。走り込んだ片山瑛一がえぐって低いクロスを送ると、中央には清武が。大事なところでトラップミスも、ここからがクールだった。強引に左足で打つと見せかけてワンフェイク入れ、すっと後方にボールを流すのだ。

 全力疾走で攻め上がってきた丸橋がズドン! ロベカル級の強烈ミドルを突き刺さした。

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