史上もっとも「10番らしい10番」は一体誰? 元J戦士の名前も――ドイツ代表の10番列伝

2020年06月09日 遠藤孝輔

ブロンドの長髪をなびかせて攻撃をクリエイト

ネッツァー(左上)、マテウス(右上)、ヘスラー(左下)、ポドルスキ(右下)。いずれもドイツ代表のメジャータイトル獲得に貢献した偉大な10番だ。 (C) Getty Images

過去のメジャートーナメントにおいて列強国の代表チームでは一体誰が栄光の10番を背負ってきたのか。歴代の担い手たちはどんな結果を残してきたのか。10番の価値や意味合いなど各国の事情に触れながら、紹介する。
 
 ここで触れるのは、これまで数多くのメジャータイトルを獲得してきたドイツだ。
 
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 ドイツ史上もっとも10番らしい10番はネッツァーだ。卓越した技術と豊かなアイデアを兼備し、ブロンドの長髪をなびかせながら攻撃をクリエイトした。
 
 ベッケンバウアーとともに司令塔を担ったEURO72では代名詞のピンポイントパスを駆使し、準決勝のベルギー戦で2アシストを記録。ただ、自国開催の74年W杯で不遇をかこったため、代表よりボルシアMGでのイメージが強いだろう。
 
 このレジェンドとは対照的に、世界の祭典で主役を張ったのがローター・マテウス。攻守に如才なく、ファイティングスピリットも備えた"闘将"は背番号10として臨んだ初の国際大会、90年W杯で世界王者に輝いた。
 
 それぞれ80年、96年の欧州制覇に貢献したハンジ・ミュラーやトーマス・ヘスラーも忘れがたき名手で、フェリックス・マガトやトーマス・ドルとともに技術と創造性を持った古典的な10番に分類できる。
 
 一方で、期待を裏切ったのはラース・リッケンとメスト・エジル。前者はメジャー大会で唯一出番のなかったナンバー10で、後者は背番号8として輝かしい功績を残すも、10番をつけた18年W杯で早期敗退の戦犯に。
 
 時に「10番らしくない」と指摘されたが、エジルの前任者であるルーカス・ポドルスキは大舞台に滅法強かった。現10番のユリアン・ブラントは先人たちとは異なるドリブラータイプだ。

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