SDの電撃辞任でマルセイユに激震走る! 酒井宏樹のCL初出場に影響は?【現地発】 

2020年05月17日 結城麻里

来季はCL出場権を獲得したマルセイユだが…

ヴィラス・ボアス監督(左)と酒井(右)。選手やサポーターからの監督への信頼は厚い。(C)Getty Images

 酒井宏樹が所属するオランピック・ド・マルセイユ(マルセイユ)に、大きな不安が広がっている。

 スポーツ・ディレクター(SD)のアンドニ・スビサレッタ氏が現地時間14日夕に電撃辞任。クラブも同夜、慌てて声明を発表し、この事実を認めたからだ。

 不安の最大原因は、今回のSD辞任がアンドレ・ヴィラス・ボアス監督の去就に直結しかねない点だ。

 ヴィラス・ボアス監督は昨年秋から、「私がここに来たのは、第一にクラブを成長させるため、第二はアンドニのため。すでに言ったが、私の将来は彼の将来に親密に繋がっているのだ」と明言し、SDと一蓮托生であることを強調。スビサレッタ氏がクラブを去れば自分も去ると仄めかし、脅しともとれる発言を繰り返して、同氏解任の動きをけん制してきた経緯がある。

 だが、この問題は冬に英国人ポール・アルドリッジ氏が、ジャック=アンリ・エロー会長のアドバイザーに招聘されたことで悪化した。1月20日には、会長とヴィラス・ボアス監督の激しい怒鳴り合いが、会長室から聞こえたとさえ言われている。

 背景には、選手売却路線への懸念がある。アルドリッジ氏はイングランドに選手を売却するために雇われたとしか考えられない。そのため、チャンピオンズリーグ(CL)出場を目標に奮戦中だった監督は、冬の選手売却に絶対反対を貫き、選手からもサポーターからも支持を受けた。

 奮闘の甲斐もあり、マルセイユは冬の選手売却を断念。その後、ヴィラス・ボアス監督と選手は一致団結して着実に順位をキープ。新型コロナウィルスの影響で途中閉幕とはなったものの、リーグ2位となり、来季CLへのストレートインを決めた。マルセイユが2位を実現したのは、2012-13シーズン以来7年ぶり。酒井宏樹にとっても、キャリア初のCL出場になる予定だ。

 ところが、そんな矢先に今回の辞任騒ぎだ。エロー会長は声明で、「アンドニはプロジェクト・スタート時に私がリクルートした最初のマネージャー。したがってわれわれの道が分かれるのは大きな感慨を伴う。アンドニは誠実で一貫一徹の男だ。ビッグなプレーヤーだっただけでなく、巨大なクオリティーをもつプロで、今後も意見交換するのを大いに楽しみにするだろう」と賛辞を送っている。

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