【安永聡太郎】「バルサより再現性の質が高い」レアル・ソシエダ躍進の秘密を戦術的に徹底解剖!

2020年04月30日 木之下潤

躍進の裏に優秀な戦術家あり

ソシエダの基本フォーメーション。可変するのが特徴だ。 (C)Getty Images

 僕が今シーズンのラ・リーガで一番おもしろいと思ったチームは、中断前(27節終了時点)まで4位と躍進をしている「レアル・ソシエダ」です。

 何がおもしろかったのか?

 その最大の理由は、レアル・マドリーやバルセロナより「サリーダ・デ・バロン」の再現性の質が高かったからです。ソシエダは、このサリーダ・デ・バロン(直訳は「ボールの出口」。ビルドアップに似た言葉で、攻撃の始まりを表わすスペイン特有の表現)をセットプレーかのように実行していました。

 基本的にゴールキーパー(以下GK)を含めて丁寧にボールを前進させるのですが、その方法である「サリーダ・デ・バロン」における戦術的なアプローチが非常に整理されています。イマノル・アルグアシルは昨シーズンの途中にBチームから昇格した監督ですが、短期間でここまで完成度の高いチームを作り上げたのは、本当にすごい。よりレベルの高いクラブを指揮できる人材の一人だと感じています。
 
 このチームを語るには、二つの見方が必要です。一つは戦術的な観点で、もう一つは個の資質的な観点です。今シーズンのソシエダは、"フットボーラー"として高い資質を持った若手の有望株が揃っています。おそらく先発メンバーの平均年齢は24歳くらいなのではないかな、と。

 たとえば、マドリーからレンタル中のノルウェー代表MFマルティン・ウーデゴー(21歳)、アンダー世代のスペイン代表歴があるMFミケル・メリーノ(23歳)とMFイゴール・スベルディア(23歳)、またスペインのフル代表にも選ばれているFWミケル・オジャルサバル(23歳)などが20代前半です。

 こうした若手の能力を最大限に引き出し、2010-2011シーズンのジョゼップ・グアルディオラ(現マンチェスター・シティ)が指揮した時代のバルサのような個と戦術が見事に融合したサッカーを、アルグアシル監督がソシエダという中堅クラブで体現したことに驚きました。

 一体、どんな戦い方をしていたのか。今回は、快進撃の秘密に迫っていきます。
 

次ページポイントは前線の選手による相手DFラインの“ピン留め”

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