【ジーコが語るJリーグ|後編】「外国人5枠は無意味」。そして、日本人選手への提言は――

2020年05月01日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「『助っ人』とは『助ける』『人』。外国人は助ける立場であるべき」

インタビューに応えてくれたジーコ。Jリーグがさらに良くなるために、未来への提言をしてもらった。写真:徳原隆元

 たしかにJリーグ開幕によって「日本サッカーは成長した」とジーコは認めるも、反面、加速する若手の海外移籍について懸念も抱く(前編、中編はこちら)。そこで、本インタビューの後編では、Jリーグが世界に追いつくためにはどうするべきなのか、語ってもらった。

※本稿はサッカーダイジェスト本誌19年9月26日号から転載。一部、加筆・修正。インタビューは19年9月5日に実施。

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 Jリーグが世界に追いつくために――。

 ジーコがその改善案として挙げたのが、外国籍選手枠である。

「5人の外国人枠は無意味だと考えています。外国人はよく日本語風に言われるのは『助っ人』ですよね。『助ける』、『人』と書く。観客が見て、外国人が日本人との実力差を感じないと、その外国人は無意味。外国人は助ける立場であるべきです。

 日本人から『この人すげえな』と尊敬の眼差しで見られ、お手本となる。日本人が吸収しようと真似をする。そんな存在が『助っ人』です。そういう存在であれば、外国人がいるのは正しいと思います。

 ただ、そういう存在でないなら無意味。現在、外国人枠は、ACLでは『3+アジア枠の1』なのにJリーグは5人(試合エントリーは5人。チーム登録は制限なし)です。例えば鹿島では5人の外国人がいますが、ひとりはACLに出場できない。彼は『やっぱり俺は使われないんだ』とモチベーションが低下し、それがチーム内にも波及して悪影響を及ぼすリスクがあります。

 だから、ACLのルール通りに『3+アジア枠1』という外国人枠のルールを取るべきです。もっと言えば、その外国人も高いレベルの選手でないといけない。例えばプレミアリーグでプレーするには、一定以上のA代表出場数を満たしていないと、ビザが発行されませんよね。そのような制限をJリーグも設ければ、レベルアップにつながるかなと。Jリーグ開幕当初、代表レベルの選手を見て日本人が成長したようになるはずです」

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