「彼が言ったセリフは…」カントナのカンフーキックにファーガソンは“激怒”しなかった? 元マンU戦士が舞台裏を語る

2020年04月18日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

「ロッカーでは『ヘアドライヤーされるぞ』って声もあった」

誰もが目を疑ったカントナの「カンフーキック」。当時のロッカールームでの様子を元マンU戦士が明かした。 (C) Getty Images

 マンチェスター・ユナイテッドを長年率いたサッカー界の伝説の指揮官、アレックス・ファーガソンは、自身が激怒する様から選手たちに「ヘアドライヤー」と呼ばれていた。だが、エリック・カントナが、かの有名なカンフーキックを観客に見舞った時は、「ヘアドライヤー」の洗礼を浴びせなかったという。

 サッカー史に残る"事件"が起きたのは、1995年1月25日、クリスタル・パレスとのプレミアリーグだった。試合途中で退場となったカントナは、スタンドから汚い言葉を浴びせた観客に飛び蹴りを見舞ったのだ。

 当時、チームメートとしてピッチに立っていたガリー・パリスターは、英『talkSPORT』で「サッカーの歴史において非常にショッキングな瞬間だった」と振り返っている。

「おそらくあんなことができたのはエリックだけだ。クレイジーだったよ。私は彼のこと、彼の性格を知っていた。間違ったことをされたらカッとなるんだ。その点では驚きではなかった。スタッフが引き離し、もみくちゃになり、選手たちがみんな駆け寄った。でも、私は行かなかった。ただショックだったんだ。現実じゃないみたいだった」
 

 選手が観客に飛び蹴りを見舞ったのだから、指揮官が激怒すると考えるのは不思議ではない。パリスターは、「試合後のロッカールームでは『エリックはヘアドライヤーされるぞ』という声もあった。それまで彼はやられたことがなかったから、我々は面白くなると思ったよ」と話し、こう続けている。

「監督が入ってきた時、エリックはすでに着替えて隅に座っていた。試合は1-1に終わり、監督は何人かの選手に怒った。そして次にエリックのほうを向いた。我々はみんな思ったよ。『きたぞ』ってね。

 だが、ただ彼のことを見て言ったセリフは、『エリック、ああいうことはしちゃいけないぞ』だけだった。エリックに対するヘアドライヤーはそれがすべてだった。本当におかしかったよ」

『TalkSPORT』は、フランス人であることを揶揄されたことに激怒したカントナが「サッカー界から人種差別を文字通り蹴り出そうとしたことを広く称賛された」と伝えた。カントナがのちに「良い瞬間はたくさんあったが、気に入っているのはフーリガンを蹴った時だ」と話したことも紹介している。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部

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