新人獲得にJスカウト陣も困窮…未曽有の危機がプロ志望の最終学年世代に及ぼす影響とは?

2020年04月16日 松尾祐希

プロ野球とは異なる自由競争の下での選手獲得。コロナ禍での現状は…

早くも2021年シーズンの入団内定が決まった樺山(興國高→横浜FM)、佐藤(明治大→G大阪)、森岡(法政大→磐田)。写真:浦正弘(左)、金子拓弥(中)、茂木あきら(右)。

 感染拡大が続く新型コロナウイルス。日本では感染者数が8000人を超え、サッカー界でもJFAの田嶋幸三会長やヴィッセル神戸の酒井高徳などが感染し、大きな影響が出ている。

 現時点で2月21日に開幕したJリーグは開催を延期。6月から8月を目安にリスタートが考えられているが、依然として明確な再開の目処は立っていない。育成年代にもその影響は波及しており、ほとんどの大学、ユース、高校で試合が行なわれていない状況だ。

 関東大学サッカーリーグは3節まで中止を決めており、2種年代最高峰の戦いU-18高円宮杯プレミアリーグも現時点で開幕日が確定していない。ほとんどのチームは試合だけでなく、活動自体を自粛しており、自宅調整を余儀なくされている。この状況が長期に渡れば、コンディションの維持が難しくなり、彼らの進路に大きな影響を及ぼすのは間違いない。

 サッカー界はドラフト制度を敷いているプロ野球とは異なり、自由競争の下で新人選手の獲得が行なわれている。大学、ユース、高校の新卒選手は早い選手で昨季のうちに内定を決めているが、新シーズンの2月あたりから夏にかけて有望株の行き先が続々と決まっていく。実際に興國高の樺山諒乃介、平井駿助、田川知樹は、2月11日に横浜F・マリノスへの来季加入内定が発表されており、大学でも4月10日に明治大の佐藤瑤大が来季からG大阪でプレーすることが決まった。

 あくまで早期に決まる選手は昨季よりも前に目を付けられていた選手。その他の多くの者は、今季の活躍によってプロ入りの道を切り開かなければならない。となると、活動を行っていない現在はアピールする場がなく、ボーダーライン上にいる選手たちからすれば大きな痛手だ。

 実際にJクラブのスカウト陣も頭を抱えている。あるスカウトは2月初旬までは何事もなく視察が行なえていたが、2月中旬から徐々にクラブから行動自粛を通達されるケースが増えたとし、視察する場合は公共交通機関を使わない場合に限定されたクラブも出てきたと振り返る。
 

次ページプロ入りを目指す選手はもちろん、進学希望の選手も夏のインターハイが中止されれば…

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