FC琉球の選手と監督が公式戦延期に前向きな理由。“緊急ミーティング”が雰囲気を変えた

2020年02月28日 仲本兼進

「この決定の受け止め方をチームとして共有しよう」(樋口監督)

千葉戦は0-1で惜敗。巻き返しへのモチベーションを高めていたが……。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 2月25日、Jリーグは感染拡大を見せる新型コロナウイルスのさらなる拡散防止と予防のため、3月15日までのすべての公式戦の開催を延期にした。当日、その一報を受けた樋口靖洋監督は「的確な判断だったと思います」と、Jリーグの決定に理解を示している。「正直開幕戦からそういうことがあってもおかしくない」という想いだったという樋口監督は、突然の知らせにも冷静に耳を傾けていた。

 しかし気になるのは選手のほうである。琉球は23日の開幕戦で千葉に0-1で敗れ黒星スタートとなった。相手の3倍以上となる17本のシュートを打ちながらも無得点に終わり、DF李栄直は「これが強いチームと弱いチームの差だと思う」と語気を強め、29日の岡山とのホーム開幕戦で巻き返しを図るべくモチベーションを高めていた。かつFW阿部拓馬は「単純に決めなくてはいけなかったが、チャンスを作れていることが大事」とやれる手応えを感じ取り、ゴールへの意欲を語っていた。

 それだけに不意を突いたその知らせは選手個々の興奮の熱気を冷ます要因となるだろう。なりより3週間の空白期間により一度研ぎ澄ました集中力を維持することは難しく、ひいては強度なトレーニングを実施した時に注意力が散漫となって怪我につながることも考えられる。
 
「この決定の受け止め方をチームとして共有しよう」

 樋口監督は延期発表の翌日のトレーニングの開始前、選手スタッフを集めて円陣を作り、緊急のミーティングを行った。その時指揮官は全員の顔色を見て一人ひとりの様子を伺いながら、今の状況をどのように受け止めるのかということを伝えた。

「今の状況をみんながバラバラで受け止めていたらバラバラの反応が出てくる。なので今回の決定をポジティブに受け止めようと話しました。怪我人の回復しかり、今年新加入選手12人が入ったことでまだ不十分だったチーム作りにおいて3週間の時間をもらったということ、過密日程に向けて総合力が問われることになるから一人ひとりがレベルアップをして競争力を上げようと話しました」

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