“孤高のFW”石原直樹が意外にも「先生」と呼ばれていた仙台時代。新天地・湘南での立ち位置は?

2020年02月27日 佐藤亮太

「勝手に記者やサポーターが言っていて……」本人も戸惑っていた「先生」の称号

今季湘南に加入した石原が開幕戦でスタメン出場。35歳のベテランは若いチームをいかにリードしていくのか注目だ。(C) SOCCER DIGEST

 2020年シーズン、リーグ戦の幕開けとなった湘南ベルマーレ対浦和レッズ。7分、湘南MF鈴木冬一のクロスを頭で押し込んだのがFW石原直樹。ワンタッチゴーラーの面目躍如。鮮やかな先制点だった。

 この得点は2トップの相棒FWタリクとの連係の賜物。浮嶋敏監督は「あうんの呼吸でふたりは動ける。お手本のような連係」と称賛した。ゴールだけではない。浮嶋監督が目を見張ったのは石原の走行距離が11.7㎞を記録したことだ。「35歳で走れるんだからすごい。本人に伝えたら、驚いていて"いままで一番走ったかも"と話していた」と笑った。攻守にわたり滅私奉公をしていた何よりの証拠だ。12年ぶりの復帰だが、石原はすっかり「湘南スタイル」にフィットしていることが分かる。

 石原のキャリアは湘南を皮切りに大宮アルディージャ、サンフレッチェ広島、浦和、ベガルタ仙台を経て、ここまでリーグ280試合に出場・66ゴール(2月22日現在)。どのチームでも欠かせない得点源となってきた。同じ群馬県出身で大宮、浦和とチームメイトだった浦和MF青木拓矢は「ナオくん(石原)は能力が高いからどのチームでも出られる」と証言する。また普段の石原について青木は「マイペースで……。基本、とんがっている」と語った。


 たしかに石原は必要以上に話さない「孤高のFW」というイメージがある。しかし、仙台時代、石原が「先生」と呼ばれていたことを耳にした。「孤高のFW」と「先生」。このふたつにギャップを感じざるを得ない。

 石原に直撃すると「勝手に記者やサポーターが言っていて……、なんで僕が先生なんだろうって」と戸惑っていたようだ。

 石原が「先生」と呼ばれたのは、当時のチーム事情が大きく関係していた。仙台に加入した17年、渡邉晋監督(当時)は布陣を3-4-3(3-4-2-1)とし、スタイルをがらりと変えた。心機一転。新しい挑戦であるとともに、チームも新布陣、新戦術への適応に四苦八苦する状況だった。
 

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