「ひとりで敵の総パス数を上回る」前政権で“代えが利かない存在”ではなくなったブスケッツに復活の兆し【現地発】

2020年01月30日 エル・パイス紙

“聖域”に初めてメスを入れたのがバルベルデだった

長きに渡りバルサの“4番”を担ってきたブスケッツ。ただ近年は絶対的な存在ではなくなっている。(C)Getty Images

 セルヒオ・ブスケッツは2008-2009シーズンにジョゼップ・グアルディオラ監督(現マンチェスター・シティ)によってトップチームに抜擢されて以来、常に主力メンバーとしてバルセロナの黄金時代を牽引してきた。

 ヨハン・クライフがあるコラムでブスケッツの彗星のようなデビューを歓迎し、当時スペイン代表を率いていたビセンテ・デル・ボスケは「もし生まれ変われるのなら、ブスケッツのような選手になりたい」と語った。

 このスペイン代表MFの競争相手として加入したハビエル・マスチェラーノとアレクサンドル・ソングはいずれもCBへのコンバートを余儀なくされ、後継者と目されていたセルジ・サンペールとオリオル・ブスケッツも高い壁に阻まれ、前者がヴィッセル神戸、後者はトゥベンテでプレーしている。

 当然ティト・ビラノバ、ヘラルド・マルティーノ、ルイス・エンリケというグアルディオラを引き継いだ3人の歴代監督はいずれもブスケッツを絶対的な選手として位置付けてきた。そんななか、その"聖域"に初めてメスを入れたのが、前監督のエルネスト・バルベルデだった。
 
 バルベルデは今シーズン、中盤にダイナミズムを加味しようとテコ入れを図った。同じく近年アンタッチャブルな存在だったイバン・ラキティッチに昨年5月の時点でレギュラーポジションを確約しないことを伝え、開幕のアスレティック・ビルバオ戦でブスケッツをスタメンから外した。

 そのビルバオ戦、代わりピボーテに起用したのが新加入のフレンキー・デヨングで、さらにその左右には今冬、ベティスにレンタルで移籍したカルレス・アレニャと開幕当初は中盤に固定する構想だったセルジ・ロベルトを配した。しかしバルベルデの思惑通りに中盤は機能せず、バルサは0-1で黒星発進となった。

 バルベルデは翌節のベティス戦ですぐさま修正を施し、その後も中盤の構成をいじり続けた。ここまでMF陣の中で総試合時間の80%以上に出場しているのはデヨングのみ(第20節終了時点。以下同)。2位に66%のブスケッツが続き、以降はラキティッチ(37%)、アルトゥール(36%)、アルトゥーロ・ビダル(36%)と軒並み低い数字が並ぶ。

 出場機会を少なくなると選手たちが不満を蓄積させるのは世の常だ。このうち怪我も重なったアルトゥールを例外として、ビダルが冬の移籍をほのめかし、ラキティッチが「悲しい」という発言で負の感情を露にするなか、しかしブスケッツだけは口を閉ざし続けた。
 

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