シーズン中の監督交代は17年ぶり…バルサに再び訪れた“クライシス”【現地発】

2020年01月16日 エル・パイス紙

補強も育成もプランなし

シャビ、クーマンに“振られた”バルサはキケ・セティエン(中央)の就任を電撃的に発表した。(C)Rafa HUERTA

 バルセロナがお決まりの"自滅癖"を再発させている。

 エルネスト・バルベルデを解任し、後任としてキケ・セティエンを招聘。ルイス・ファン・ハールを解任してラドミール・アンティッチを後釜に据えた2003年1月以来のシーズン途中での監督交代に踏み切った。当時チームはルイス・フィーゴが宿敵レアル・マドリーに移籍したダメージに苦しみ、無冠が続いていた。いわゆる暗黒時代の真っ只中にあった。

 同年夏、会長選でジョアン・ラポルタが勝利して新体制が発足すると同時に、フランク・ライカールトを新監督に招聘。補強の目玉としてロナウジーニョを獲得した。さらにカンテラで頭角を見せていたアルゼンチン出身の少年(リオネル・メッシ)の1年後のトップデビューが決定打となって、バルサに黄金時代が到来した。

 今回の監督交代もそういった意味では一つの時代の終焉を告げている可能性は大いにあるだろう。
 
 自滅癖の再発を象徴するのは、スーペルコパという格下のコンペティションでの敗戦が、クライシスの発端となったことだ。しかもそのアトレティコ・マドリー戦で、バルサは今シーズン一番のパフォーマンスを披露した。勝負どころでのミスが原因で敗れたとはいえ、今後に可能性を感じさせる試合内容だった。

 しかし、フロント幹部は現実を直視せずにシャビ、ロナルド・クーマンと選手として一時代を築いたレジェンド2人に立て続けに監督就任を打診。いずれも固辞され、何のプランも持ち合わせずに突発的に行動に移した事実を図らずも露呈した。

 結果的にキケ・セティエンの就任で決着を見たとはいえ、それでチームが直面している数々の問題が解決すると期待するのは虫が良すぎる。

 そもそもバルサが抱えているのは構造上の問題であり、それは14年夏にマルク=アンドレ・テア・シュテーゲン、イバン・ラキティッチ、ルイス・スアレスを獲得して以来、不作続きの補強戦略と大きく関係がある。主力の高齢化が進むなか、次から次へと新戦力を獲得するも、誰一人としてチームを押し上げる存在となれず、そこには大金を投じて迎え入れた選手も含まれている。
 

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