4強のうち2校が活用! 高校サッカー界に普及する「驚異の分析アプリ」が令和の選手権のトレンドに?

2020年01月06日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

全国で約80チームが採用

昨年の雪辱を果たし、ベスト4に勝ち進んだ矢板中央(上)と帝京長岡(下)。近年の躍進は目覚ましい。(C) SOCCER DIGEST

 48分の5、そして4分の2――。この数字は、今後さらに増えていくことになりそうだ。

 1月5日、第98回全国高校サッカー選手権の準々決勝が行なわれ、ベスト4が出揃った。

 前回王者の青森山田に、帝京長岡(新潟)、静岡学園、そして矢板中央(栃木)の4校だ。そのうち、ベスト8で散った昨年の雪辱を果たした帝京長岡と矢板中央には、ある共通点がある。『SPLYZA』(スプライザ)という分析アプリを活用しているのだ。

 このアプリを運営する株式会社SPLYZAの土井寛之代表に話を伺ったところ、今大会に出場した48チームのうち、帝京長岡と矢板中央のほか、東久留米総合(東京A)、興国(大阪)、広島皆実の5校がこのSPLYZAを使用。全国では、クラブユースも含めて約80チームが使っているという。

 SPLYZAの最大の魅力は、例えば、敵チームの試合映像から分析を行なう場合、複数人が同時に編集作業をできる点にある。土井氏は次のようにメリットを話す。

「これまで映像の解析や編集は、コーチがパソコンを使ってひとりで作業するのが普通でした。ただ、それだと何時間もかかってしまい、選手権のように日程が詰まっていると、徹夜になることも少なくなかった。この点を解消し、作業効率を高めたのがSPLYZAです」

 例えば、フルマッチの映像の中から「セットプレー」「カウンター」「ボールロスト」「パスカット」のようにプレーごとにまとめたり、相手のキーマンのプレー集を作成したりできるのだが、そのタグ付けを複数人で一気に行えるため、選手が分析に加われば、あっという間に編集が終わってしまうのだ。キックオフから5分までをAが担当、5分から10分までをBが担当といった具合だ。

 コーチから一方的に提供されるものを確認するのではなく、選手も分析に参加することで、自主性や戦術理解度を高めるという効果もある。

 実際、3年ほど前に完成したこのアプリを1年目から導入している矢板中央は、選手が率先して分析を行なっている。キャプテンの長江皓亮(3年)によると、大会中は登録メンバー30人で手分けをしてタグ付けをしているという。

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