ピッチ内外で「その場しのぎ」が蔓延るバルサ。バルベルデ監督の退任はほぼ確実だ【現地発】

2020年01月03日 エル・パイス紙

すべての視線は21年夏の会長選挙に

クラシコではマドリーにペースを握られたバルサ。メッシ頼みのサッカーでは限界が……。(C)Getty Images

 今シーズン限りで契約満了となるエルネスト・バルベルデは、ほぼ確実にバルセロナの監督を退任することになるだろう。

 昨シーズンにリバプール相手に喫したチャンピオンズ・リーグ(CL)での大逆転負けというショッキングな出来事を消化するために、もう1年間の続投という妥協点を見出したが、バルベルデ本人はもちろん、クラブ側もこれ以上関係を続けていく意思があるとは考えにくい。

 いまバルサが掲げる最大のテーマは、リオネル・メッシに1年でも長くプレーしてもらいながら、円滑な世代交代を進めることだ。現行の契約は2021年夏までだが、メッシサイドが希望すれば、一方的に今シーズン終了後に破棄することも可能だ。

"10番"の契約を延長して、同年夏に行われる予定の会長選挙に向けて機運を盛り上げ、現経営陣から立候補する人物の勝利をアシストするというのが、ジョゼップ・マリア・バルトロメウ会長が思い描くシナリオだ。

 しかし取り巻く状況は混沌としており、現経営陣、立候補を画策している他陣営、それぞれが考えを巡らせながら水面下で選挙を見据えた陣取り合戦が繰り広げられている。すべての視線は21年夏に向けられており、そんな中で下される決断は付け焼き刃で、チームの刷新は先送りされたままだ。
 
 しかも先日のクラシコでの戦いぶりが象徴するように、そうした目先の利益ばかりに捉われているクラブ運営の影響が、ここにきてピッチにも波及し始めている。

 最近のバルサは対戦相手によって、自陣で待ち構えながらカウンターにチャンスを見出すリアクションフットボールに徹したり、前線からハイプレスを仕掛けてボールを奪い素早いパス回しでゴールを目指したりと、とにかく戦い方が一定しない。

 いずれにしてもルイス・スアレスとメッシが構える前線の得点力に依存するスタンスに変わりはないが、大勝した試合でも、試合運びが安定しない。インテンシティーの高い展開に持ち込まれると攻守が分断されてしまう。苦しい時間帯を耐えて、メッシの得点力とテア・シュテーゲンの攻守で勝利を手繰り寄せた試合も少なくない。
 

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