バルサとレアルを天秤にかけた18歳のプロフェッショナリズムに脱帽【2019日本サッカー界の衝撃5大ニュース】

2019年12月29日 飯尾篤史

横浜優勝、パワハラ問題…いずれも青天の霹靂というほどではない

レアル・マドリーへ移籍した久保はその後、マジョルカへレンタル移籍。いまやチームの主軸として不動の存在に。(C) Mutsu Kawamori/Mutsu FOTOGRAFIA

 2019年もあと残りわずか。今年も日本サッカー界には様々なニュースがもたらされた。そこで今回は、ライター陣にサッカー界を揺るがした5つの出来事をピックアップしてもらった。スポーツライターの飯尾篤史氏が選んだ衝撃5大ニュースとは――。

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●久保建英のレアル・マドリー移籍
 ただの5大ニュースではない。"衝撃"という言葉が冠せられている以上、まったく予期せぬ出来事を挙げるべきだと受け取った。まさに、青天の霹靂。思わず「え、うそでしょ!?」と呟いてしまうような……。

 だから、横浜F・マリノスの優勝は、あえて外した。「ボス」ことアンジェ・ポステコグルー監督のもと、ポジショニングと個の能力が絡み合ったアタッキングフットボールがもたらした栄冠が、エポックメイキングなものだったのは間違いない。とはいえ、驚くべき出来事だったかというと、ちょっと違う。

 彼らのスタイルは、エリック・モンバエルツ体制下で着実に仕込まれ、昨季はボスのもとで産みの苦しみを味わいながら、しかし、着実に育んできたもの。しかも、シーズン終盤に向かうに連れ、ライバルたちが調子を落としていくのとは対照的に勢いを増していった。まだ3位だった時点で「これは、マリノス、行きそうだな」と感じさせていた分だけ、衝撃度は少ない。

 湘南ベルマーレの曺貴裁元監督のパワハラ問題に関しても、ずいぶん前から漏れ伝わってきていたから、青天の霹靂という感じではない。

 そう考えると、最も衝撃を受けたのは、久保建英のレアル・マドリー加入だった。

 もちろん、18歳を迎えた時点での欧州復帰は既定路線だったが、当然、古巣であるバロセロナに"復帰"するものとばかり思っていた。それが、まさか宿敵への加入を選ぶなんて……。

 バルサを上回るさまざまな条件をレアル・マドリーが提示したわけだが、そこに恩とか義理とかの感情を挟まないプロフェッショナリズムには脱帽するしかない。そして何よりバルサとマドリーを天秤にかける日本人選手が登場したという事実が衝撃だった。
 

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