【戦評|U-22代表】“サンドバック状態”のジャマイカを相手に何が見えた?なによりの収穫は…

2019年12月29日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「低調な相手と戦って何が見えるんだ」という意見もあるかもしれないが

安部は別格のテクニックで攻撃を牽引。一方で守備での貢献も見逃せなかった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ]U-22日本9-0U-22ジャマイカ/12月28日/トランスコスモススタジアム長崎

 U-22日本代表は、2019年最後の国際試合キリンチャレンジカップのジャマイカ戦を9-0の大勝で終えた。

 率直に言って、ジャマイカはまったく張り合いのない相手だった。時差ボケなのか、長崎の凍えるような寒さに慣れなかったのか、明らかに動きに精彩を欠き、ただただ日本の攻撃を受けるだけの"サンドバック"のようだった。

 そうしたコンディションを考慮せずとも単純に技術的にも劣る相手でもあった。ジャマイカの選手はドリブルが足につかず、パスをしても味方の足もとにつながらない。簡単にボールを日本に明け渡していた。

「低調な相手と戦って何が見えるんだ」「意味のない試合だ」という意見もあるだろう。しかし、9-0で圧勝した日本代表を、素直に評価したい。
 
 日本は5分の中山雄太の圧巻のFKを皮切りに、サイドを度々切り崩してゴールを量産。スペインの名門バルセロナBで活躍するテクニシャンの安部裕葵が、面白いように相手を翻弄してファウルを誘えば、ポルトガルのマリティモで研鑽を積むスピードスター前田大然は、持ち前の快足を遺憾なく発揮し、相手の脅威となった。大学ナンバーワンアタッカーと呼び声高い旗手怜央も鮮やかなボレーシュート2発を決め、初選出の東俊希も鋭いプレースキックでインパクトを残した。

 さらに交代で出場した一美和成、三笘薫、岩崎悠人がいずれも目に見える結果を残し、終わってみれば8人がスコアラーとなるゴールラッシュを披露したのである。

 そして、もっとも素晴らしかったのは守備面だ。相手ボールになれば、すぐさまひとりがボールホルダーにプレッシングを仕掛け、その後ろからは2人目、3人目が連動して囲い込むようにジャマイカの攻撃を遮断していった。終始ゲームの主導権を握れたのは、こうした組織的な守備が出来ていたからだった。

 森保監督も試合後、「ボールを奪われた瞬間に素早く切り替えて、もう一度ボールを奪い返す、あるいは相手に自由にプレーさせることなく自分たちのいい形で守備に移っていくという部分、そういうベースの部分で選手たちは戦ってくれた」と称賛している。

次ページ森保監督が語った11月のコロンビア戦との違い

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