「現状では絶対に東京五輪に出られない」会心の2ゴールを決めた旗手を突き動かす危機感

2019年12月28日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

屈託のない笑顔にも決して満足した様子はない

ジャマイカ戦では2ゴール。鮮烈なパフォーマンスを見せた。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ]U-22日本9-0U-22ジャマイカ/12月28日/トランスコスモススタジアム長崎

 ジャマイカ戦で特大のインパクトを残したのが旗手怜央だ。

 3-4-2-1システムのシャドーで先発出場すると、パスやドリブルなど状況に応じた的確なプレーで日本の攻撃をリードした。

 最初の見せ場は16分だった。松本泰志のクロスを右足ボレーで合わせてチームの2点目をゲット。さらに17分には、ピッチ中央でボールを受けると、巧みなターンで相手をかわしながら前を向き、前田大然のゴールの起点となる縦パスも供給する。
 
 さらに極めつけは19分。左ウイングバック東俊希からのグラウンダーのクロスを受け、鋭く左足を振り抜き追加点まで決めてみせたのだ。

「1点目も2点目も大然がニアに走って相手を引き付けてくれたので、そのおかげで自分がフリーになれた。ただ、ああいうシュートは外しがちだったんですけど、しっかり決められて良かったです。

 1点目はインパクトだけに集中してやっていました。2点目に関しては、ふかさないように、あとはコースをしっかり狙うというのを考えてやっていたので、そのとおりにいきました。ガッツポーズは自然と出ました。嬉しかったので」

 そう言って笑う旗手だが、その屈託のない表情にも決して満足感はない。なにせ、この世代のシャドーの競争は熾烈そのもの。A代表にも名を連ねる久保建英(マジョルカ)、堂安律(PSV)の他にも、三好康児(アントワープ)、食野亮太郎(ハーツ)など海外で活躍するタレントが多数揃う。

 それこそ、ジャマイカ戦でともにコンビを組んだ安部裕葵も世界屈指の名門バルセロナのBチームに在籍する実力者。また国内組も、岩崎悠人(札幌)や森島司(広島)ら技巧派ばかりだ。
 

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