“リアル”南葛SCは2020年をどう戦う?「全選手との面談」「サポーターとの交流」からGMが導き出した来季の方針

2020年01月03日 伊藤 亮

「うまくいかなかったシーズンの理由を正確に把握するのであれば全員と話すのが一番いい」

「うまくいかなかったシーズン」と2019年を振り返った岩本GM。来季へのビジョンについて語っていただいた。写真:滝川敏之

 2020年シーズンに向けて早くも動き出した"南葛SC"。

 2019年末には新監督も発表された。目標とする関東リーグ昇格へブレずに、その確率を1%ずつ、コツコツと積み上げようとしているのが、岩本義弘GMだ。

 全3回特集の第2回では、全選手と話し合い、サポーターとも交流して見えてきたチームの色について、そして2020年に向けて成すべきことを語ってもらった。

――◆――◆――

 前回のインタビューでは、シーズン前の「選手全員との面談」について触れられているが、2019年シーズン後にもさっそく行なった。しかも最終節が終わった直後、10日以内に全員と膝を突き合わせるというスピードで。

「選手一人ひとりと短くて1時間30分は話しました。選手はそれぞれ仕事がありますし、人生相談みたいな側面もあります。だからどうしても話は長くなります。なので、前回はかなり長めの期間を設けて行ったのですが、今回は来季に向けて一刻も早く動いた方がいいと。うまくいかなかったシーズンなので、まずその理由を正確に把握する必要があって、であれば全員と話すのが必須だと。入っていた予定をキャンセルして、一気に面談をしました」

 海外出張を取りやめてでも必要だと感じていた、選手全員との面談。結果、現在の南葛SCというチームの性格や傾向が見えてきた。

「みんなと話していてちょっと感じたのは"主体性が足りない"ということです。もしチームがうまくいかない原因があってそれを感じているのであれば、それを修正するためのアクションを選手からも起こすべきだと僕は考えています。もちろん、アクションの起こし方にはいろいろなやり方があります。プロの選手はそういうことができるかもしれませんが、2019年の南葛SCで元Jリーガーの選手は2人を除いてあとはみんな1年目でした。だから遠慮があった。社会人リーグのサッカーを知らないうちに、いきなり偉そうなことは言えないという遠慮があったと複数の選手が言っていました。逆に言うと、僕がもっと早いタイミングで選手たちと話せていれば介入することができていたはずです」

 岩本GM自身にも「遠慮」そして「油断」があったと正直に振り返る。

「2019年シーズン最初に福西監督、柴村ヘッドコーチの体制になって、正直、"いける"という手応えがありました。東京都リーグ1部開幕前の東京カップ(東京都社会人サッカーチャンピオンシップ)で関東リーグ1部の上位チームとも互角以上に戦えていたというのがその理由です。前年も東京都リーグ1部で優勝しているし、これで(関東社会人サッカー大会進出条件の)3位以内に入らないわけがないと。その油断が全てだったと思います。
 それで僕はスタジアムの案件であったり営業案件であったり、ピッチの強化以外の部分で重点的に動こうと思った。その結果、練習にもそこまで行けなくなった。そして、"練習行ってない人間が偉そうなことは言えない"と考えてしまった。でも、選手たちに話を聞くと、『コーチングスタッフや選手たちだけでは変えられない部分もあったから介入してほしかった』という意見もあって。そこはシーズン中に選手たちと話しておけば気付けてたよな、と。言い訳ですけど、僕自身も中途半端に話すことは、監督やコーチのマネジメントを邪魔することになる、と遠慮してしまっていたんです」
 

次ページ「能力の高い選手たちの力を活かせなかったのは我々、マネジメントサイドの問題」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事