欧州王者のアンタッチャブルな課題解決の鍵に!? リバプールの戦術から紐解く南野拓実の可能性

2019年12月21日 内藤秀明

クラブ史上初の日本人獲得が意味するものとは?

攻撃陣は多士済々のリバプールにあって、南野はどのような起用をされるのか? チーム事情と戦術から分析する。 (C) Getty Images

 現地12月19日、リバプールは、レッドブル・ザルツブルクに所属する日本代表FWの南野拓実を獲得すると発表した。現地報道によれば、生じる違約金は725万ポンド(約10億1500万円)で、契約期間は2024年6月までのおよそ4年半になるという。

 このクラブ史上初となる日本人プレーヤーの補強はレッズ(リバプールの愛称)にとって何を意味するのだろうか。

 そもそも近年のリバプールは、モハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネのワールドクラスの3トップの代わりがいないという大きな課題を抱えていた。

 昨シーズンに14年ぶりの欧州王者に輝き、迎えた今シーズンはプレミアリーグで首位をひた走り、一時代を築きつつあるリバプール。その源泉が破壊力抜群の3トップにあるのは、言うまでもない。

 今シーズンからカウンターからポゼッションサッカーに志向を転換しつつあるユルゲン・クロップのチームにあって、彼らの存在感は変わらない。

 フィルミーノが中央で起点となり、両翼のマネとサラーがスピードを活かして突破しつつ、時にはクリエイティブなパスワークで相手を翻弄してゴールを量産する。プレミアリーグでの総得点数「42」のうち半分にあたる22点を彼らは叩き出しているのだ。

 だからこそ、彼らのうちの一人でも欠けてしまうと、途端にチームの攻撃力は半減する。

 もちろん、控えが全くいないわけではない。昨シーズンに途中出場で重要なゴールを決め、スーパーサブとしての新境地を開いたディボック・オリギや、高精度の左足のキックを持っているジェルダン・シャキリはいる。彼らが現在のスカッドにおいて、不可欠な存在であることは間違いないが、高い万能性を誇る3トップと比べると、どうしても見劣りしてしまうのだ。

 幸いなことに、マネ、フィルミーノ、サラーは、筋肉系のトラブルで2~3試合の欠場はあるが、中長期の負傷はほとんどない。それゆえにリバプールの3人に対する依存度は高まっているのだ。

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