中国戦で綻びを見せた森保ジャパン。世界の主流とは反する3バックの問題点【小宮良之の日本サッカー兵法書】

2019年12月13日 小宮良之

クローズアップされたのは、中国代表選手のラフプレー

中国に2-1で勝利を飾ったものの、その戦いぶりに課題が残った。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 東アジアサッカーの頂点を決めるE-1選手権、森保一監督が率いる日本は初戦で中国と戦い、2-1と幸先良い勝利を収めている。

 残念ながら、一番クローズアップされたのは、中国代表選手のラフプレーだった。話題になったカンフーキックのシーンだけではない。体の当て方からして危険だったし、タックルもダメージを与える悪意が見えた。腕やひじの使い方もひどく乱暴で、レッドカードが一枚も出なかったことは驚きである。

 その経緯もあって、試合の評価を下すのが難しい。

 そもそも、日本代表選手たちの日程がきつかった。Jリーグ最終節から韓国に遠征して中2日。集中を切らさずに戦った奮闘は、称賛されてしかるべきだ。

 橋本拳人(FC東京)、畠中槙之輔(横浜F・マリノス)の二人は、Jリーグで優勝を争い、これまでも代表に選ばれた落ち着きを見せている。失点はしたものの、GK中村航輔(柏レイソル)の落ち着いたプレーは特筆に値した。遠藤渓太も左サイドで奮闘したと言えるか。

 しかし、チームとして戦術的に不具合を生じさせていた点は見逃せない。

 森保監督は、兼任するU-22代表では自身がサンフレッチェ広島時代に確立した3-4-2-1のフォーメーションをベースにしている。この戦術に慣れ親しんだ広島の森島司は、2シャドーの一角として得点に絡むなど上々のプレーだった。また、U-22で1トップを張り、最多得点の上田綺世も戦術のキーマンとして躍動。先制点のきっかけとなるフリックパスなど、ポストプレーの質で違いを示した。
 
 しかし、チームとしての出来には不満が残った。序盤こそ押し込んだ状態で優位にプレーしたが、その後は中国の荒っぽいフィジカルプレーに陣形が乱れ、押し返されている。選手同士の距離感が悪く、パスの出しどころは乏しく、守備の補完関係でもズレができていた。

 指揮官である森保監督としても、マネジメントは難しかっただろう。

 大会は国際Aマッチではないだけに、欧州組は不在。Jリーガーもシーズンが終わった直後で疲労はピークで、試合出場機会が少ない選手を選ばざるを得ない。自分が特徴を知っている選手を選ぶことによって、どうにか戦術に落とし込む――。不具合が出るのは当然だ。

 しかしそれらを差し引いても、この戦い方は一考の余地がある。

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