「育ててもらったクラブだから…」横浜戴冠の立役者・仲川輝人が優勝決定後に“古巣”川崎へ送ったメッセージ

2019年12月08日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

横浜への恩返しと川崎への感謝

得点王を分け合ったマルコス・ジュニオールと笑顔で2ショットに応じる仲川。その表情は充実感に満ちている。写真:徳原隆元

[J1リーグ34節]横浜F・マリノス 3-0 FC東京/12月7日/日産スタジアム

 2004年のリーグ優勝以来、15年ぶりのタイトル奪取に沸いた横浜。そのトリコロールカラーに染まったスタジアムの中心に、仲川輝人は立っていた。

 試合はまさに横浜の横綱相撲といった展開だった。逆転優勝へ4点差の勝利を必要としているFC東京に対して、引いて守勢に回ることなく攻め抜いた。前半に2点、後半に1点と畳みかけ、優勝を争ってきたライバルを打ちのめしたのである。

 チームが得点を重ねていくなかで、ピッチを縦横無尽に駆け回って、献身的な振る舞いを見せた仲川。結果は無得点に終わり、チームメイトのマルコス・ジュニオールと得点王(15点)を分け合う格好となったが、「一番はチームとしてタイトルが欲しかった」と、大一番を終えての想いを口にした。

「自分の思い描いていたのは、自分が点を取って、優勝。それが一番の理想でしたけど、とりあえず優勝して良かったですし、マリノスへの恩返しになったとは思います」

 今シーズンの仲川はまさにMVP級の活躍ぶりだった。公式戦出場36試合で15得点・13アシストをマークし、リーグ最多68得点を記録した自慢の攻撃陣を牽引する存在となった。

 シーズン終盤のジュビロ磐田戦(28節)から5試合連続ゴールを決め、タイトルへのラストスパートに貢献するなど、出色のシーズンを送った27歳の韋駄天だが、自身の活躍におごり高ぶるような素振りは見られない。試合後には、中学時代から6年間を下部組織で過ごし、原点とも言うべき、"古巣"への感謝を忘れはしなかった。

「フロンターレは、育ててもらったクラブでもあるから忘れちゃいけない。そこはしっかりと感謝の気持ちを持ちたい。マリノスにも育ててもらいましたけど、いい関係というか、どちらにも感謝したいです。

 自分がユースを卒業したぐらいから止める、蹴るっていう基礎みたいなものが、トップから下部組織におりてきた印象がある。だから、もうちょっと後にユースに居たかったというのはあります。けど、球際で負けないとか、走り負けないという部分を育ててもらった。それをやってくれたのはフロンターレなので」

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