カギは日本人選手と外国人助っ人の「ユニット」。今季のJ1躍進チームに見えた共通項【小宮良之の日本サッカー兵法書】

2019年12月06日 小宮良之

FC東京とC大阪の2トップの貢献度も高かった

攻撃陣が注目される横浜だが、畠中(左)とチアゴ・マルチンス(右)の奮闘も光った。(C)SOCCER DIGEST

 2019年シーズン、J1は外国人枠の登録に関しては無制限に、試合出場枠も5名に増えた。これによって、各チームが外国人選手を積極的に補強する流れになっている。

 ヴィッセル神戸は、その制度変更を最大限に生かしたチームと言えるだろう。アンドレス・イニエスタ、ダビド・ビジャ、トーマス・フェルマーレン、セルジ・サンペールなど元バルサの選手たちを次々に獲得。他にもルーカス・ポドルスキ、ウェリントン、ダンクレー、ジョアン・オマリなどを擁し、監督がドイツ人だけに、「バベルの塔」になる不安も拭えないが……。

 ともあれ、外国人選手の力がチームの戦いを左右しているのは、まぎれもない事実だろう。横浜F・マリノスが優勝に王手することができたのは、外国人助っ人の活躍が大きい。やはり、有力で経験豊かな外国人選手は、大きな刺激になるのだ。

 日本人とのコンビ、もしくはユニットで外国人を補強できたチームは、大きな成功を収めている。

 例えば、横浜はシーズンMVPにも値するブラジル人CB、チアゴ・マルチンスが同じCBの畠中槙之輔に与えた影響は小さくない。チアゴ・マルチンスは万能なCBで、高さや強さ、うまさだけではなく、周りとの関係性で守れるだけに、畠中と協調した。守りのリズムができたことで、畠中も成長を見せ、一つのコンビとしてチームを強くしたのだ。

 横浜は攻撃力がクローズアップされるチームだが、チアゴ・マルチンスと畠中のCBコンビが、それを支えていたと言える。
 
 2トップも、そうした例は顕著に表られる。例えば、FC東京のディエゴ・オリヴェイラと永井謙佑、セレッソ大阪のブルーノ・メンデスと奥埜博亮は、それぞれ相乗効果でチームの躍進に貢献している。

 永井はオリヴェイラのパワーとスピードに触発され、持ち前のスピードやタフネスを生かしたプレーに磨きがかかって、技術的な精度も上がった。奥埜も推進力のあるメンデスと調和することによって、セカンドストライカー的にスペースに入るプレーで面目躍如した。

次ページ「日本人だけで戦う」という姿勢も悪くないが…

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事