“模範的”なコロンビアに完敗した五輪代表の「現実」【小宮良之の日本サッカー兵法書】

2019年12月03日 小宮良之

コロンビア側の視点に立ってみると…

この久保や堂安が加わるも、五輪代表はコロンビアに圧倒された。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 今年11月、広島。日本U-22代表と南米コロンビアU-22と戦い、0-2とほぼ完敗している。手も足も出ないに近かった。

 その戦いはさまざまに検証されているはずだが、コロンビアの視点に立ってどう見えるのか?

 コロンビアは一つの模範的な戦い方をした。日本がバックラインからボールをつなげようとすると、その"拠点"を前線から高い強度で確実に前から潰している。怯んだ日本がボールを下げると、ここを先途と奮い立って、プレスを強めた。そして日本のボール回しが厳しくなった中盤で、何度もボールを取り返していた。相手のわずかな判断の遅れ、そして焦りのようなものをかぎ取って、しつこく攻め立てたのだ。

 受けて立ってしまった日本を相手に、コロンビアは自分たちのペースでボールを持ち運んでいる。基本的に選手同士の距離感が良かったのはあるだろう。ポジション的な優位に立ったことによって、たとえプレスにあってボールを失ったとしても、そこから奪い返すために囲み返せた。プレーインテンシティーが高く、波状攻撃も可能になった。

 例えば後半立ち上がり、先制点のシーンは象徴的だろう。

 ロングスローを入れ、これがクリアされるも、確実に取り返した。そして迅速につなげた後、左サイドへ展開。すかさずクロスを入れ、跳ね返されたものの、再び拾う。そのままドリブルでエリア内に侵入すると、右足を振って、GKの手をはじきながらゴールを決めた。

 プレー強度とポジション的優位で日本に勝った。

 2点目も回路は同じだ。バックラインから果敢にボールをつないでいるが、日本のプレスを回避できたのは、勇気だけが理由ではない。選手のポジショニングが抜群で、ボールスピードも速かった。左サイドから中盤へのパス交換で、日本のボランチの背中を完全にとっている。

つまり、相手のディフェンスラインに向かって、"障壁"なしに襲い掛かれる状況を作った。これで日本のバックラインをずるずる下がらせると、そこからボールを素早く前へ運び、右サイドの選手がエリア内でカットインし、左足で決めた。

 コロンビアは終始、効率的にサッカーをしていた。日本のように、一か八かの縦パスを打ち込んで、相手に取られるようなシーンは少なかった。パスコースが見つからず、寄せられて失い、展開されるケースもほとんどない。戦術システムの運用で上回った。5バックが前線と離れ、中盤にスペースを与えた日本と対照的だったと言える。

次ページ試合後に久保がこぼした本音

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事