【横浜|担当記者コラム】圧倒的有利な状況に「?」。最終決戦に潜む3つの不安要素

2019年12月01日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

扇原の不在は想像以上に大きな痛手に

川崎に勝利し、これで10戦無敗の6連勝と絶好調をキープ。ただ、最終節の優勝を争うFC東京との直接対決に、不安要素がないわけではない。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ33節]川崎1-4横浜/11月30日(土)/等々力

 15年ぶり4度目のリーグ優勝に、また一歩近づいた。

 首位で迎えた33節の川崎戦は4-1で勝利を収めた。勝点1差で迫る2位のFC東京が浦和に敗れれば、勝点差は「4」となり、最終節を残して横浜の優勝が決まったが、FC東京対浦和は1-1のドロー決着に。

 川崎戦で悲願のタイトル奪取とはならなかったものの、これでFC東京との勝点差は「1」から「3」に広がった。そのFC東京が相手となる最終節はホームで戦えるアドバンテージがあり、引き分け以上の結果、あるいは負けて勝点で並ばれても、現時点で得失点差は7ポイント上回っており、3点差以内の敗戦なら優勝が決まるという状況だ。

 俄然、有利なのは横浜――その見方は間違ってはいないと思う。ただし、勝負事に絶対はないし、有利に思われる横浜にも、不安要素がないわけではない。

 ひとつは、「扇原貴宏の不在」だ。シーズン序盤はほぼベンチスタートで、負傷離脱する時期もあったが、19節の浦和戦からはレギュラーに定着。不動のボランチとしてチームを支えてきた左利きのボランチは、川崎戦で通算4枚目の警告を受け、FC東京戦は累積警告で出場停止となってしまった。
 
 後方からのビルドアップに重きを置くチーム戦術において、扇原は最も欠かせないひとりと言ってもいい。プレッシャーの厳しい中盤のエリアでも、即座にスペースを見つけてそこに位置取り、パスを受け、テンポ良く捌く。優れたテクニックと戦術眼でボールの流れをスムーズにすると同時に、精度の高いミドルレンジのパスで局面を一気に変えてみせる。

 展開力も備えるポゼッションの要は、鋭い出足と球際の激しさで守備面でも頼りになる。攻守に存在感を発揮する扇原の不在は、想像以上に大きな痛手となるだろう。この穴をいかにカバーするかは重要なポイントになる。

 また、「前回対戦」も懸念材料として浮かび上がる。FC東京との直接対決では、先述したとおり、3点差以内の敗戦でも横浜はシャーレを手にすることができる。逆に言えば、FC東京が逆転優勝するには、"4点差以上"で勝たなければならない。

 サッカーの試合で「4得点」は決して簡単なノルマではない。ただ、前回対戦で味スタに乗り込んだ横浜は、2-4の手痛い逆転負けを食らっている。横浜にとって今季の最多失点のゲームであり、その相手がFC東京という事実は看過できない。

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