【千葉】現役引退の佐藤勇人が託した想い。“背番号7”の誇りは受け継がれるか

2019年11月25日 石田達也

最終戦は勝利で飾れずも…

栃木との最終節で引退セレモニーを行なった佐藤勇人。メッセージを送った。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 1万3358人の観衆が集まったフクダ電子アリーナ。サポーターの視線の先には背番号7がいた。

 11月24日、J2リーグ最終節となった栃木戦。今シーズン限りでユニフォームを脱ぐ佐藤勇人が68分からピッチに立つと定位置となるボランチで躍動した。

「勝って勇人さんを送り出したい」とチームメイトたちは奮闘したが、セットプレーの流れから71分に失点。最後まで1点が遠く最高の形でのフィナーレとはならなかった。

 試合後の引退セレモニーで佐藤は「J1に戻すと言って戻せず、この順位(17位)で終えてしまいました。それでもたくさんの人に足を運んでもらい、自分のためにたくさんのことをしてくれました。本当に幸せです」

 続いて言葉を丁寧に編みながら両親への感謝を口にした。

「小学1年生からサッカーをさせていただき、悪い方向に足を踏み入れた時やサッカーから離れた時も常にサポートをしてもらいました。2人の子どもでなかったらこうしていることが出来なかったと思っています。本当にありがとう」

 また幼い頃からボールを蹴り合いながら切磋琢磨をしてきた双子の弟・佐藤寿人には「彼は自分にとってライバルでしたし、最後に育ててもらったジェフで一緒にプレー出来たことは素直にうれしいと思っています。ただ、一緒に昇格をしたかった。それが出来なかったことが凄く悔しいです。来年は寿人に託したいと思っています」
 2005年に千葉は、イビチャ・オシム元監督の下、初タイトルとしてナビスコカップ(現ルヴァンカップ)を制覇。当時のメンバーの多くはアカデミー出身だった。佐藤も現状のチームの停滞感を打破し、クラブ力を強め、維持するためには下部組織から育った選手の力が必要だと強く感じているからこそ、セレモニーに参列したアカデミーの選手らに次の言葉を投げかけた。

「次は君たちの番。ここに来てたくさんクラブのために汗を流し、たくさんのクラブを愛するサポーターを笑顔にさせるのは君たちだと思っています。毎日、常に野心をもって努力を続けてください」

 引退後、クラブに残ることは決まっているものの、現時点で詳しい職種は決まってはいない。その中で伸び悩む若手やアカデミーの選手にはどういった助言を送るのだろうか。

「アドバイスやサポートは周りがしてくれますが、答えは自分の中で見つけるしかありません。見つけることで自分の責任に気づかされます。自分はユースの時、プロ1年目の時は、どうしようもなく馬鹿野郎でしたし、色々な人が声をかけてくれたのにも関わらず響きませんでした(苦笑)。そこから自分で答えを見つけて責任が増しました。自分で見つけ自分で切り開く。結局は自分と向き合うことが大事なんです」

次ページ今後については「早く動きたい」と前向き

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