試練の11月シリーズ。大胆な2チーム編成に見えた森保ジャパンの現在地とまだまだ遠い主力依存脱却への道

2019年11月20日 元川悦子

主要メンバーとそれ以外の大きな実力差がくっきりと出る結果に

ベネズエラ戦で1-4と大敗した日本代表。前半だけで大差をつけられるショッキングな敗戦だった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 真剣勝負の2022年カタール・ワールドカップ・アジア2次予選キルギス戦(14日=ビシュケク)を長友佑都(ガラタサライ)・吉田麻也(サウサンプトン)ら主力組で確実に勝利し、19日の親善試合・ベネズエラ戦(大阪)で控え組の底上げを図る――。それが日本代表・11月シリーズに挑むに当たっての森保一監督のシナリオだった。


 前者の方は南野拓実(ザルツブルク)と原口元気(ハノーファー)の2得点で思惑通りの白星を手に入れたが、後者の方は前半だけで4失点という信じがたい惨敗。主要メンバーとそれ以外の大きな実力差がクッキリと出る最悪の結末になってしまった。

「本当に今日は半分以上(2次予選に)出てない選手でしたし、『俺らでもやれる』というのを見せないといけない試合だった。こういう試合をしてしまうと底上げにならない」と原口が苦渋の表情を浮かべた通り、ベネズエラ戦前半の日本は手も足も出ない状況だった。開始8分に室屋成(FC東京)がソテルド(サントス)との1対1で対応できずに上げられたクロスをサロモン・ロンドン(大連一方)に打点の高いヘッドで決められ先制点を献上。これを皮切りに、普段控えに甘んじている面々は冷静さを欠き、ミスを連発。ラインがズルズルと下がり、失点を繰り返すという負の連鎖に陥った。

 畠中槙之輔(横浜)が「実力不足を痛感しました」と反省の弁を口にする一方、主力の柴崎さえもが「2-0、3-0になってしまうと心理状態を統一するのが難しい」と困惑。中心メンバーとサブの融合もうまく図れなかった。森保監督は昨年9月のチーム発足時から主力を固定しがちだったが、その弊害が出たのは間違いないだろう。

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