「岡山というチームが温かく見守ってくれた」引退表明の田所諒が古巣のピッチで感謝の念

2019年11月17日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

岡山とともに「プロ」の道を歩み始める

プロキャリアをスタートさせた古巣の岡山との一戦で、田所(3番)は4試合ぶりに出場し、1-0の勝利に貢献。プレータイムは限られていたが、クローザー役を全うした。(C)J.LEAGUE PHOTOS

[J2第41節]岡山0-1横浜FC/11月16日/Cスタ

 試合後、横浜FCの田所諒が、岡山のホーム、シティライトスタジアムのピッチを1周する。スタンドからの声援を聞いて、「もう泣いていましたよ」と明かす。

 11月12日、横浜FCが田所の今季限りでの現役引退を発表。「プロサッカー選手として全力でプレーすることができたので、もうおなかいっぱいです!」と、11年間のプロ生活に終止符が打たれた。

 それから2日後、下平隆宏監督から「いくぞ」と、同16日のアウェー岡山戦のメンバー入りを伝えられた。「今の僕の序列からすると、たぶん、メンバーには入れなかったと思う」。だが、指揮官は田所を遠征メンバーに加え、さらに試合では3人目の交代選手として、90+2分に投入した。

 横浜FCの1点リードで迎えた後半、ペースを握っていたのは岡山だった。横浜FCは劣勢を強いられる。そして、いよいよアディショナルタイムへ。岡山の猛攻は続いている。そんな緊迫した展開のなか、田所は思い出深い"古巣"のピッチに立つことができた。

 大阪体育大を卒業後、2009年に岡山に加入。同シーズンは、岡山にとってJ2初年度。(JFLから昇格)。クラブとともに、田所は「プロ」としての道を歩み始めた。

「本当に、チームと一緒に成長させてもらったところが大きくて。自分にはなんの能力もなかったけど、岡山というチームが温かく見守ってくれて、そのおかげで成長していけたかなと思います」
 
 岡山には09年から2015年までの7年間、在籍した。「1年1年、精一杯やってきた」。その姿を、岡山のファン・サポーターたちは知っている。だからだろう。自分たちが応援するチームが負けていても、今はスカイブルーのユニホームに身を包む田所が途中出場すると、大きな歓声を上げた。田所も「幸せでした。ありがたかったです」としみじみと言う。

 プロとしての原点は、間違いなく岡山にある。そんな大切な場所で、限られた時間だったとはいえ、プレーする姿を見せることができた。

「まず、ここに連れてきてもらえたことにチームに感謝したい」

 そのおかげで、試合後には、かつての自分を応援してくれたファン・サポーターにゆっくりと時間をかけて挨拶することができた。スタンドに向けて手を振る。時折、右手で左の胸を叩くしぐさも見せる。

「7年いたんで、これって言われると分からないですけど、今までやってきた日々っていうのは、すごく思い出として蘇ってきました」

【横浜FC練習PHOTO】好調なチームを支える3人のレジェンド!

次ページゆくゆくは、岡山の監督になれたら――

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事