東京五輪でエムバペとの共演に現実味! 17歳の"神童" カマビンガを覚えておいて損はない【現地発】

2019年11月14日 結城麻里

10日に17歳の誕生日を迎えたばかり

レンヌで定位置を確保しているカマビンガ。国籍の問題もクリアし、五輪出場が現実味を帯びてきた。 (C) Getty Images

 フランス人をあっと言わせてきたエドゥアルド・カマビンガが、11月4日についにフランス国籍を取得。さらに17歳の誕生日の翌11日には、急きょエスポワール(U-21)フランス代表にも招集された。

 これで、この神童が東京オリンピックに登場する可能性も出てきた。その事実に、現地は興奮している。

 カマビンガは今シーズン、たった16歳にもかかわらずスタッド・レネ(レンヌ)の中盤で先発を確保し続け、年齢を感じさせない冷静かつ堂々たるプレーを披露している。あまりの早熟ぶりに、バルセロナ、アトレティコ・マドリー、マンチェスター・ユナイテッドなどのメガクラブも定期的に視察にきているほどだ。4月のリーグアン・デビュー以来、順調に出場を重ね、10日のアミアン戦で23試合目を刻んだ。

 そんなカマビンガには同情が集まっていた。というのも、2歳でフランスにやってきて、フランスの教育を受け、フットボーラーとしてもレンヌで育成されてきたというのに、申請しても申請しても、フランス国籍が下りなかったのだ。

 実はエドゥアルド少年は、出生地であるアンゴラのパスポートだけを所持していた。両親がコンゴ人のため、コンゴ国籍もある「はず」だが、一家がフランスに定着した数年後、火事で家が焼けた。これでカマビンガ一家は住居も家財道具もすべて失い、身元を証明する書類を全て焼失してしまったのである。

 当時、少年の成長を見守っていた人々の支援で、住居と家財道具は何とかなったが、フランス国籍だけは書類不十分のためか、なかなか下りなかった。

 ところが今年、カマビンガの尋常ではない実力を発見した世論が、一気に味方した。国籍取得のために尽力してきたレンヌも、当局に一層の圧力をかけた。さらにフランス・フットボール連盟(FFF)も県庁も動き出し、ついに11月4日、家族ともども、めでたくフランス国籍を手にしたのである。

 よほど嬉しかったのだろう。カマビンガは、照れながらフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」をアカペラで歌い、笑顔と歌声をソーシャルネットに公開した。そして迎えた10日、17歳の誕生日は、初めてフランス人として祝った記念すべき日となった。

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