「最高のチームが最弱のチームに負けた」「西川は居眠り」U-17日本代表の“早すぎる”敗退をブラジル人記者が嘆いたワケ【現地発】

2019年11月09日 リカルド・セティオン

土砂降りのなか審判団は試合続行を決断

16強で散った日本。グループリーグの戦いぶりは称賛を集めたが……。(C)Getty Images

 U-17ワールドカップの決勝トーナメント1回戦、日本とメキシコの選手がピッチに入った時、まずふたつのことが印象に残った。

 ひとつはサポーター。50人足らずの日本人サポーターのそばで、多くのブラジル人が、サムライの兜をかぶり、鉢巻をしてニッポン、ニッポンの声援を送っていた。

 もうひとつは雨だ。それもとんでもない土砂降り。しかし、審判団は協議の末に試合続行を決断した。残念ながら、この雨は日本の味方とはならなかった。グループリーグで一番強かったチームが、一番弱かったチームに負けてしまったのである。

 ヨーロッパチャンピオンのオランダを下すなど、2勝1分けでしかも無失点、文句なしの1位でグループリーグを突破した日本。方やメキシコはぎりぎりの3位通過で、内容も見るべきところはなかった。

 しかしサッカーとは、ここぞといった時に力を見せるチームが勝利する。グループリーグの成績は過去のことで、もう関係ない。こういった一発勝負をブラジルでは「Mata‐Mata」という。英語ならキル&キル。つまり殺るか、殺られるかだ。

 そんな何が何でも勝たなければいけない「Mata-Mata」な試合で、しかし日本は過ちを犯してしまった。おかげで今後、我々は、名前もよく知らないメキシコの選手たちを追いかけなければならなくなった。一方の日本代表は、西川潤と若月大和をはじめ、鈴木彩艶、畑大雅、唐山翔自、三戸舜介、成岡輝瑠……半分近くの選手の名が知られるようになっていた。

 日本の皆さんは、もしかしたらこのブラジル人記者は、リップサービスをしているのかと疑うかもしれない。だが、そんなことは断じてない。すべては真実だ。
 
 日本は残念ながら早く帰国することになってしまったが、それでも西川と若月は大会トップ10に入る選手であるし、フランス、ブラジル、パラグアイとともに日本はここまでのベストチームだった。

 私だけがそう言っているのではない。FIFAの公式データを見ても、それは明らかだ。ディフェンス、GKの指標はここまでで1位、ボールポセッション、パス成功率では2位、枠内シュート数は3位。それが日本の残した成績だ。

 元ブラジル代表の正GKでベンフィカ、インテルなどでプレーしたFIFAアンバサダーのジュリオ・セーザルもこう言っていた。

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