【浦和】アジア制覇のキーマンは、J1デビューしたての第2GK?福島春樹が抱く覚悟

2019年11月02日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「思ったより緊張もなく、試合にスッと入れた」

鹿島戦でJ1デビューを飾った福島。敗れたものの、「ある程度は自分のプレーが出来た」と手応えも語る。写真:滝川敏之

[J1リーグ30節]鹿島1-0浦和/11月1日/カシマ

 第2GKとは、実に特殊な職業だ。

 普段はほとんど出場機会がなくても、正GKが負傷した時や出場停止の場合に、急きょ出番が回ってくる。緊急時にすぐさま対応を迫られるため、日頃から高度なセルフマネジメントが求められる。

 今季浦和でそんな役回りを担うのが、プロ4年目の福島春樹だ。

 専修大卒で16年から浦和に在籍する福島は、16年夏からの半年間、鳥取にレンタル移籍した際に、J3で出番を掴んだものの、これまでJ1での実績はなし。常に不動の正GK西川周作のプレーをベンチあるいはスタンドから眺めていた。

 ところが、広州恒大とのACL準決勝の第2戦で、その西川が決勝トーナメント通算2度目の警告を受け、決勝第1戦(11月9日)を出場停止となる事態となった。
 
 そこで大槻毅監督に、予行演習として、11月1日の鹿島戦で西川に代えて先発に抜擢されるのだ。

 鹿島戦の前日に先発を告げられたという福島だが、「思ったより緊張もなく、試合にスッと入れた」という。J1初出場と思えないほど落ち着いて試合に入り、シュートを捌いていった。

 この日最大の見せ場であり、最も悔しい想いをしたのが、72分。ゴール前の混戦から放たれた土居聖真のシュートに素早く反応してファインセーブしたものの、そのこぼれ球をセルジーニョに決められ、先制点を献上してしまったのだ。結局このゴールが決勝点となり、福島はデビュー戦を勝利で飾れなかった。

「ある程度は自分のプレーを出せたけど……」と言う福島も、やはり失点シーンには悔いが残る。

「僕らは、何センチ、何ミリの世界で仕事をしていると思っている。(土居のシュートの)ボールを触ったところは少しばかり余裕はあった。ギリギリというより手のひらで触れたので、そこで手を返してコーナーに逃げたりとか、あの瞬時のなかでも、出来るようになれば、もっとクオリティが上がってくるのかなと思っています。そういった面を意識しながら、もう1回トレーニングに取り組みたい」
 

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