「右でやりたかった」大敗したパリSG戦後に酒井宏樹が語った本音。翻弄されたエムバペとのマッチアップについては…【現地発】

2019年10月30日 結城麻里

本職ではない左SBで先発

パリSG戦はマルセイユと酒井にとって苦い一戦となってしまった。 (C) Getty Images

 現地時間10月27日に行なわれた、マルセイユとパリ・サンジェルマンの一戦、「ル・クラシック」は0-4で後者が大勝した。

 4失点を喫したマルセイユの酒井宏樹は、試合後、ため息とともに第一声をもらした。

「試合にならなかった。サッカー選手としての欲を言えば、90分間、右でやりたかった」

 それは純粋なフットボーラーとしての想いだろう。パリSGと1シーズン中に対戦するのは2回きり。絶対王者を相手に自身の力を確かめたいという気持ちが沸くのは当然のことだ。

 だが、試合は簡単なものにはならなかった。この日の酒井は本職の右ではなく、左SBで先発。苦しいチーム事情のマルセイユに対して、パリSGは、アンヘル・ディ・マリア、キリアン・エムバペの両翼がポジションを入れ替えながら、両サイドをえぐるような攻撃を仕掛け、襲い掛かった。

 必然的に酒井もその対応に追われた。フランス代表FWエムバペには試合開始直後から何度もスプリントを仕掛けられ、捕まえきれない場面が続いた。10分には、マッチアップしたディ・マリアにフェイントでかわされ、これがマウロ・イカルディの先制点に繋がってしまう。

 26分にイカルディに2点目を奪われて迎えた直後にも、酒井はディ・マリアにはプティ・ポン(小さな橋=股抜きのこと)で翻弄される。これは失点には繋がらなかったものの、32分にはオフサイドぎりぎりでディ・マリアに裏をとられ、中央に瞬時に現われたエムバペに3点目を奪われる。

 44分にもディ・マリアからエムバペのホットラインで4点目を許し、前半だけで0-4(イカルディとエムバペ2得点ずつ)と大差をつけられた。マルセイユは後半に酒井を右SBに回してようやく安定したが、結局一矢を報いることすらできなかった。

 ディ・マリアとエムバペに翻弄され続けた日本代表DFに、全国紙『L’EQUIPE』本紙のマルセイユ番記者は、手厳しく「3点」をつけた。だが、酒井だけが特別に出来が悪かったわけではない。チーム全体がパリSGに歯が立たなかった。『L’EQUIPE』の記者団は「最悪の採点は酒井じゃないよ」と笑いながら教えてくれた。

次ページエムバペやディ・マリアについては「1対1で勝負しろと言われても…」

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事