壮絶な試合だったね。延長戦を含めて３-３の点の取り合いとなり、PK戦までも目が離せない一戦だった。優勝したフロンターレも、惜しくも準優勝に終わったコンサドーレも、個人的には思い入れのあるチーム。胸が熱くなったよ。

　攻撃的なサッカーを特長とするお互いの良さを出し合ったファイナルだった。最初の25分ぐらいは、菅のミドルで先制したコンサドーレのペース。ハーフラインの少し後ろぐらいに最終ラインを設定して、全体をコンパクトに保ちながら、アグレッシブに戦うことができていた。奪ってからのカウンターも効果的で、理想的な試合の入り方だったはずだ。

　フロンターレも負けていない。リードされても、持ち前のパスワークを武器に、慌てず、焦れずにボールを動かしていく。そうやって徐々に盛り返していって、気づけば相手を押し込んでいく。コンサドーレが、縦パスを入れた後に少しミスが多かったことも影響したのか、前半の半分を過ぎたあたりからはフロンターレが主導権を握り、阿部のゴールで試合を振り出しに戻した。

　後半も一進一退の攻防。コンサドーレは、途中交代したジェイに代わって、武蔵がCFに入る。武蔵は裏に抜ける動きが優れていて、相手のラインを押し下げることができる。それでできたスペースを、途中出場のロペスやチャナティップが上手く使っていた。一方のフロンターレは、ダミアンとの交代でピッチに立った小林が躍動。大島からの見事なパスを受けて、鮮やかな逆転弾を叩き込んだ。
 

　このまま試合終了かと思われたラストワンプレーで、コンサドーレが追いつく。CKに深井がヘッドで合わせて、ゴールネットを揺らした。

　延長戦で再び、リードを得たのはコンサドーレだ。至近距離からの直接FKを福森がねじ込んでみせた。

　これはもう、見事の一言に尽きるね。ゴールに向かってやや右。レフティにとっては、ファーを狙っても、ニアの壁を越えてもいい、どちらも選べる絶好の位置。最終的に福森はファーサイドを選んだけど、普通、あの距離でコースを狙えば、ボールは少し緩くなるもの。でも、福森のキックは違った。"ズドン"と重くて、スピードもある。少し親指に引っ掛けて巻いているけど、インステップに近い一振り。

　僕もFKは得意中の得意だったから、あのFKの凄さは分かっているつもりだ。あの距離で、あれだけパンチ力あるキックはなかなか蹴れない。高さ、スピード、コース。すべてが完璧と言ってもいい。試合終了間際の深井の同点弾を演出したCKも、福森が蹴っていた。あのキックも鋭くて素晴らしかった。その良い感触が残っていたんじゃないかな。

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