【J1コラム】終盤の失速はもはや風物詩? 崩れ去った浦和の9年連続のV逸

2014年12月07日 熊崎敬

総攻撃に出たところを立て続けに切り返され…。

リードを守りきれず、名古屋に逆転負け。ラスト3試合は未勝利と終盤の失速で浦和はまたしても優勝を逃した。 (C) SOCCER DIGEST

 浦和が、またしても優勝を逃した。
 G大阪が最下位・徳島に引き分ける失態を犯したのに、こちらは名古屋に逆転負け。一度逃がした魚がふたたび寄ってきたというのに、また取り逃がした。もう戻ってはこない。
 
 9年連続のV逸。終盤戦の失速は、もはや風物詩だ。
 最後の3試合は「こうやったら確実に負けます」という繰り返しだった。
 
 32節。勝てば優勝、引き分けでも優勝に大きく前進するG大阪との大一番を、まず落とした。
 前半に猛攻を繰り広げながら決められず、後半、攻めるのか守るのか曖昧になったところを突かれ、2失点。カウンターから許した先制点は、だれもタックルにいかず、戻りも遅い脇の甘さ。しかも2点を失った終盤に興梠を投入し、怪我を悪化させた。
 
 それでもまだ、首位に立っていた。
 だが、33節の鳥栖戦を1−1で引き分けてしまう。敵は10人。勝利を目前にしながら、捨て身の放り込みに浮き足立ち、ロスタイムにCKから同点とされた。
 
 名古屋との最終節では、開始2分に幸先よく先制する。だが、戦術の肝であるウイングバックにパスをつなげず、中盤を支配されて受け身に回った。52分には名古屋の闘莉王が負傷退場し、流れが来たかと思われたが、及び腰のまま試合をしていた。
 
 72分、CKから同点とされたが、すべてが終わったわけではなかった。にもかかわらず、浦和は崩れる。総攻撃に出たところを立て続けに切り返され、89分に痛恨の2点目を献上。最後尾の鈴木が敵の松田にパスを渡し、永井に叩き込まれた。
 
 浦和の敗戦は、だいたい次のような要素で成り立っている。
 先制しても追加点を奪いにいかない。
 ボールを支配できないと浮き足立つ。
 だれもリーダーシップを取らない。
 終盤に(セットプレーから)失点する。
 負けているのに後ろでつなぐ。
 記者会見で監督が言い訳をする。
 
 ペトロヴィッチ監督は試合後、「1−0で守りきるというのは、記者の皆さんが思うほど簡単ではない」と語った。
 だが、「記者が思うほど」というのは余計だ。それを期待されて、彼は大金で雇われているのだ。

次ページペトロヴィッチ監督が最後に吐露した本音。

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