愕然とするバルサの“末期症状”。メッシの復調頼みも自慢の打開力に翳りが…【現地発】

2019年09月24日 エル・パイス紙

守備の構造上の問題は手つかずのまま

昇格組のグラナダに完敗し、早くも今季2敗目を喫したバルサ。途中出場のメッシも不発に終わった。(C)Getty Images

 負け方にもいろいろあるが、先日バルセロナがグラナダに喫した敗戦は有無を言わさぬ完敗だった。明らかになったのは、一昨シーズンのチャンピオンズ・リーグ(CL)のローマ戦での大逆転負けで出血し、昨シーズンのCLのリバプール戦のこれまた大逆転負けで拡大した傷口が、再生するどころか、いまなお化膿しているという愕然たる事実だ。

 リバプール戦の敗戦のショックは直後のエルネスト・バルベルデ監督の進退問題にまで発展したが、フロントが続投を決断。しかしいまチームが垣間見せている症状は、近年の歴代監督のフランク・ライカールト、ジョゼップ・グアルディオラ、ルイス・エンリケのいずれの政権末期にもあった現象だ。

 グラナダ戦でフレンキー・デヨングと並んで、もっとも輝きを放ったのが16歳のアンス・ファティという事実は問題の根深さを物語っている。ジュニオル・フィルポのミスから生じた1点目が示すように、両SBの背後のスペースを狙われる守備の構造上の問題は手つかずのまま。
 
 最大の売りであるはずの前線のトリデンテにしても、アントワーヌ・グリエーズマンは、リオネル・メッシとルイス・スアレスの復帰でサイドにポジションを追いやられ持ち味を発揮できず。そのルイス・スアレスも加齢により明らかに動きが重くなっているが、バルベルデ監督は盟友のメッシの顔色を窺って、アンタッチャブルな扱いを解くことができないでいる。

 しかもこれまではメッシの大車輪の活躍で、こうした数々の問題をカムフラージュできていたが、頼みのエースも故障明けでコンディションが万全ではない。32歳という年齢も重なり、リズムチェンジと爆発力を駆使した持ち前の局面打開力が低下。結果的に球離れの遅さが目立つようになり、かといって10番に頼り切る状況に慣れきってしまっているチームメイトもまた、状況を打開することができない。

 良くも悪くもすべてのプレーがメッシで完結していた戦術がここにきて明らかに問題となって表われ始めている。また、メッシはあくまでプレーで引っ張るタイプのリーダーであるがゆえ、こうして自らのパフォーマンスが低下すると、自ずと存在感も薄まってしまう。
 

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