「ポグバ級の才能」を持っていたヌドンベレが味わった16歳での挫折とは?【フランスの逸材ルーツ探訪】

2019年09月20日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

フランス代表デビューの舞台は自分を拒絶した町だった

タンギ・ヌドンベレ(フランス代表/22歳)/リヨン→トッテナム/移籍金6000万ユーロ(約75億円) (C)Getty Images

 昨シーズンのリーグ・アンで主役級の活躍を示し、今夏にプレミアリーグへとステップアップの移籍を実現した二コラ・ペペ、タンギ・ヌドンベレ、アラン・サンマクシマンは、どんなバックグラウンドの持ち主なのか。

 それぞれルーツに迫るこの企画。2回目となる今回は、リヨンからトッテナムへ渡り、「ポグバ級の才能」と称賛されている逸材ヌドンベレに迫る。

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 そのタレントを信じる者と、投げやりな態度や真剣さに欠けるフットボールへの姿勢を非難する者――。長い間、評価は真っ二つに割れていた。

 パリ南郊のセソンヌ県でボールを蹴り始めたタンギ・ヌドンベレは、子どもの頃から天賦の才に恵まれ、家族のしっかりとしたサポートもあって着実に成長。エピネー、次いでリナ=モンレリーというクラブと契約を交わす。プロのフットボーラーを目指し、順風満帆の日々を送っていた。
 最初の挫折は16歳。14歳から所属していたギャンガンに、プロ契約前に見限られたのだ。当時、クラブの下部組織を指導し、現在はフランスU-19代表を率いるリオネル・ルクセルは、きっとこう弁明するだろう。

「彼は朝に弱くて時間どおりに起きられないうえ、しかも太っていた」

 数奇なもので、ヌドンベレが後にフランス代表にデビューした試合の舞台が、自分を拒絶したその町だった。ギャンガンは逃した魚の大きさを痛感したに違いない。

 ただ、あの挫折を味わったからこそ、いまの成長と成功があるのかもしれない。

 ギャンガンを退団したタンギ少年は2014年、ナショナル(3部)のアミアンと契約。リザーブで2年踏ん張ったあと、クラブがリーグ・ドゥに昇格したそのタイミングでトップチーム入りを果たした。2017年夏には移籍期限間際に強豪クラブのリヨンに移籍。20歳だった。

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