GKからFWになり開花。アーセナルに加入したペペの転機は父の転勤? 【フランスで飛躍した逸材のルーツ探訪】

2019年09月19日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

アーセナルでも選んだこだわりの「19番」の意味

ニコラ・ペペ(コートジボワール代表/24歳)/リール→アーセナル/移籍金8000万ユーロ(約100億円) (C)Getty Images

 昨シーズンのリーグ・アンで主役級の活躍を示し、今夏にプレミアリーグへとステップアップの移籍を実現したペペ、ヌドンベレ、サンマクシマンの3選手は、どんなバックグラウンドの持ち主か。それぞれルーツに迫るこの企画。初回はリールから約100億円でアーセナルへ渡った逸材、ニコラ・ペペだ。

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 リールで背負い、アーセナルでも選んだこだわりの「19番」は、大切な故郷を示す数字だ。そのナンバーは、少年時代を過ごしたパリ19区(パリ北東部の19区は隣の18区と並びアフリカ系移民が多く住む下町)に由来する。キャリアの始まりは、地元のFCソリテール・パリ・エストという小さなクラブ。6歳で門を叩き、16歳までプレーした。
 当時のニコラ・ペペがゴールを決める時間帯は、試合終盤に限られた。チームの勝利がほぼ確実になり、好きなポジションでプレーできる自由が与えられないかぎり、アタッカーとしてはピッチに立てなかったからだ。コートジボワールにルーツを持つ少年のFCソリテール時代の持ち場は、FWではなくGKだったのだ。

 守護神としても、優秀だった。実際、U-12のトーナメントに出場した際には、大会のMVPと最優秀GKに輝いたことがある。

 大きな転機は2011年、パリ南西部のコミューン(地方自治体)、ポワティエへの移住だ。刑務所監視員だった父親がヴィボンヌ刑務所に配属されたため、通勤しやすいポワティエに家族とともに引っ越したペペは、地元ポワティエFCでついにアタッカーにコンバートされるのだ。以降、メキメキと頭角を現わしていった。

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