こだわりのあるトップ下ではなくボランチ? 現在の心境について中村俊輔が語る

2019年09月13日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「やることは、いっぱいあるから」

横浜FCではボランチが主戦場に。ただし、愛着のあるトップ下へのこだわりは捨てていない。写真:滝川敏之

 トップ下に強いこだわりを持つ中村俊輔だが、今夏に新天地を求めた横浜FCでは、基本的にはボランチとして考えられている。
 
 その序列について本人は「3番手、4番手みたいな」と受け止めてもいる。途中出場からでもピッチに立てば、中盤の底でパスを捌いて、守備にも奔走する。
 
――トップ下だと思っていましたけど、ボランチって……。
 
 こちらの勝手な違和感をぶつけてみる。俊輔は泰然と構えている。
 
「この歳(41歳)までやらしてもらっているから。横浜FCの一員として、シモさん(下平隆宏監督)の考えるサッカーの下で選手としての幅をまだ広げられると思う。そうしたら、もっと長く、キャリアが1年、1年と伸びていくかもしれないし」
 
 俊輔なりのボランチ像はある。ただ、それが固定観念となって、プレーが制限されることへの危機感も抱く。だから、求められる役割にはすべて応えたい。「勉強になっているし、引き出しを増やさないと」と、貪欲に学ぼうとしているのだ。
 
 もっとも、トップ下へのこだわりを捨てたわけではない。現時点でこのポジションのファーストチョイスはレアンドロ・ドミンゲスだ。このブラジル人選手が出場停止だった30節のアウェー山形戦、俊輔はトップ下のポジションで、リーグ戦では移籍後初スタメンを飾る。
 
 スコアは0-0。決定的な仕事はできず、アピールも十分だったとは言い難いが、それでもいくつかのビッグチャンスを演出したのも事実だった。
 
「トップ下になった時は、自分にしかできないものを見せたい」
 
 トップ下について語る時の俊輔は、いつも生き生きとしている。エネルギッシュで、威勢が良い。
 
「いよいよ年齢的に厳しくなって、ほとんど動けなくなっても、うわーやっぱり何歳になってもファンタジスタだ、みたいな」
 
「俺にしかできないプレーとゲーム作りって、あると思うから」
 
「なかなかパスが来なかったとしても、足もとに入ったら、急にターンして、危険なプレー、勝負のプレーができるのかどうか」
 
 自分が最も大事にしている武器を研ぎ澄まし、熟練した職人よろしく、一刀で斬る――。「そういうのも、したいけどね」。本来の居場所であるトップ下で輝きを放つ。ボランチで新境地を開く。「やることは、いっぱいあるから」。新天地でも充実の時間は続いている。
 
※本記事は、サッカーダイジェスト9月26日号(9月12日発売)掲載の記事から一部抜粋・加筆修正したもの。

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取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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