タイ1部リーグで旋風を巻き起こす日本人指導者。快進撃をもたらした指揮官が明かす舞台裏とは

2019年09月11日 佐々木裕介

広島でティーラシンを獲得する機会に携わり、タイのサッカーに興味

サムット・プラカーン・シティFCを率いる村山監督。今季チームを快進撃に導いた。写真:佐々木裕介

 タイリーグ1(タイ1部)はシーズン大詰め、残すところ5試合だ。例年とは異なり優勝争いは混沌を極めている。その中に聞きなれないクラブがある、"サムット・プラカーン・シティFC"だ。

 今季、バンコク都の東側に接したサムットプラカーン県へ本拠地を移した(昨季まではパタヤ・ユナイテッドとして参戦)彼らは一時、順位を2位まで上昇させ、"強豪"ブリーラム・ユナイテッドと首位争いを演じてみせた。また彼らを指導するのが日本人スタッフ(監督及びコーチ3名)であることも興味深い点である。Aマッチウィークに伴うリーグ中断期間にもかかわらず、精力的に練習へ打ち込むチームを訪れ、村山哲也監督に話を聞かせてもらった。

――◆――◆――

――タイでの挑戦を選ばれた経緯をお聞かせいただけますか?
「22年もの間、日本では素晴らしいステージで仕事をさせていただけた。しかし自分の中ではぶち破れない何かを感じていたなかで、サンフレッチェ広島の強化の立場でティーラシンを獲得する機会に携わり、タイのサッカーに触れて、粗削りではあるが面白いなと。自分が学び見てきたものを落とし込めれば十分にチャンスはあるなと思えたんです。そのタイミングでこのクラブのオーナーから直接誘いをいただいたのがきっかけですね」
 
――今季当初は強化部長として赴任、6月に監督へ昇格されました。就任会見でリーグ3位以内が目標と宣言されていましたが。
「現有戦力と私がやりたいサッカーが順応出来れば、十分に可能な順位だと計算した上での発言でした。現に7月末のブリーラムとの天王山を2位で迎え、その後負けが続いたものの今も5位に居られている。チームの潜在能力は実証できているとは思っています」

――村山監督が感じるタイ人選手の特徴は?
「身体的にも技術的にもポテンシャルは高いと感じています。しかし自主性やプロとしての心構えが低いなとも。そこを気付かせて植え付けることも私たちの使命だと思っています」
 

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