前半戦は快進撃も…大分の躍進は止まったのか? 勢いを取り戻すためのキーマンは…

2019年09月04日 古沢侑大(サッカーダイジェスト編集部)

前半戦を終えた時点では4位という好成績

開幕戦は藤本の2ゴールで勝利。この試合で勢いに乗れた。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 就任4年目を迎える片野坂知宏監督の下、大分は積み上げられた緻密なサッカーを披露。昇格組ながら開幕戦で鹿島を2-1で破り、続く2節の松本戦こそ敗れたが、3節から磐田、横浜と連勝し、その後も順調に勝点を重ねた。前半戦を終えた時点で8勝5分4敗の4位は望外の好成績だ。片野坂監督も「このまま4位でシーズンが終われば100点満点」と5月のインタビューで語っていた。

 積み上げられた緻密なサッカーとは数的優位、位置的優位、質的優位のいずれかを常に作り続けるポジショナルプレー。そのためにGKを含めて最終ラインから丁寧にビルドアップし、相手の"ズレ"を探していく。その"ズレ"からゴールに迫るというのは、決して難しいサッカーではない。さらに、隙があればロングボール一本で裏を突いたり、単独でドリブル突破するという"柔軟さ"もある。
 
 他のJ1のチームは、GKがペナルティエリアの外に飛び出してビルドアップに参加するなど、独特な大分のサッカーに面喰った部分もあるだろう。しかし、シーズンを通して順調に勝点を重ねられるほどトップリーグは簡単ではなかった。
 
 今夏に加入した田中達也はG大阪在籍時に大分と戦っており、その時のG大阪の対策は「しっかりと引いて守る」ことだったという。

 また、12節の清水戦ではGKにまで徹底してプレッシャーをかけられ、ディフェンスラインでパスミス。そこからPKを献上してしまった。
 
 このように徐々にビルドアップへの対策を練られていることは明白で、後半戦の8試合で1勝4分3敗。田中も岩田智輝も「研究されている印象はある」と口を揃える。ただ、「クロスの質や最後のフィニッシュのところ」(岩田)、「最後のクロスやシュートの精度を上げていくしかない」(田中)と、あくまで自分たちで解決できる問題だと主張する。片野坂監督もスコアレスで終わった松本戦の後にこう話していた。
 
「チャンスは多く作ったが、やはり最後のクロス、シュート、ラストパスの質はまだまだ課題。これは今日だけでなく、これまでもそういう形が多かった。今節に関してはゴールに近づいてきた感じはあるが、前線の選手が日頃のトレーニングから突き詰めて積み上げていくしかない。急に変わるものでもない」

 前半戦の17試合ではチームとしてシュート113本で21得点。後半戦の8試合ではシュート41本で6得点。決定率に直せば前半戦は18.6%で、後半戦は14.6%だ。若干、数字は下がっているが、対戦相手が違うので一概には比較できないだろう。
 
 また、各チームの研究が進んでいることの他に、前半戦と後半戦の大きな違いはなにか――。8月に藤本憲明が神戸へと移籍したことだ。
 

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