ミランのレジェンドはどう評価? 往年の名DFバレージが語る本田圭佑

2014年11月21日 マルコ・パソット

本田の出来不出来がチームを大きく左右する。

ボバンに続いて、ミランのレジェンド中のレジェンド、バレージが本田について語った。 (C) Getty Images

 2年目のミランで開幕から好調を維持している本田圭佑。ここまでチーム最多の6ゴールを挙げている「10番」は、クラブOBのレジェンドの目にはどう映っているのか。
 
 1990年代の黄金期に「10番」を背負ったズボニミール・ボバンに続いて、「本田評」を語るのは、不世出の名DFで、背番号「6」がミランの永久欠番になっているフランコ・バレージだ。
 
 現役当時のプレー同様、エレガントな物言いのバレージは、本田をどう評価したのか。
 
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 本田が移籍してきたばかりの頃、多くのイタリア人は彼のミラン加入を懐疑的に見ていた。それも仕方のないことではある。「ロシアのクラブからやって来た日本人選手」では正直、強いイメージはわかない。「スペインのクラブから来たアルゼンチン選手」などに比べたら、どうしても見劣りしてしまう。
 
 ただ、前年のコンフェデレーションズ・カップでの活躍などから、本田が優れたテクニックの持ち主であることはイタリアでも知られていた。だから疑いながらもミラニスタは期待も抱いていた。本田が低迷するミランの救世主になってくれたら、と。
 
 だが昨シーズン、本田は苦労した。セリエAに対して何も準備していなかったのだから、それも仕方がないだろう。外からやって来た選手にとって、イタリア・リーグは非常に難しいものだ。一夕一朝に馴染めるわけではない。おまけにミラン自体が多くの問題を抱えていたことも、本田にとっては不運だった。とにかくミランに来てから半年間、本田は本当の本田ではなかった。
 
 いま、本田はやっとその実力に見合うプレーをピッチで披露できるようになってきた。サッカー人生の全てをミランに捧げた私も嬉しいかぎりだ。彼が活躍できるようになったその理由は簡単だ。サマーキャンプから始まる夏の準備期間を、ほぼ最初からチームと過ごし、新シーズンに向けて心身のコンディションを整えることができたからだ。
 
 また、イタリアで、ミランで半年を過ごし、チームメイトについてもイタリア・サッカーについてもよく知ることができたのも大きい。
 
 昨シーズンはいろいろ非難の声も聞かれたが、いまはミラニスタたちも本田を愛している。サポーターはつねに労を厭わず、全力でプレーする選手が好きなのだ。そしてなにより私が強調しておきたいのは、本田がプロの鑑のような選手だということだ。陰日向なくいつも一生懸命、そういう選手がこの世界では違いを見せる。本田のプロ精神は、彼自身をも大きく助けているのだ。
 
 今シーズンのミランも本田に大いに助けられている。ゴールという側面だけを取っても、それは顕著だろう。そしてこれから先も、本田の活躍がミランの行方のカギを握るはずだ。その出来不出来がチームを大きく左右するだろう。ピッチでのプレーを見るかぎり、彼にはまだまだ伸びしろがある。

次ページ相手の対策が進む今後も同じプレーができるか。

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