バルサに加入したジュニオル・フィルポの知られざるキャリア――すべては6年前、ベティスのフベニールと対戦した日から始まった【現地発】

2019年08月13日 エル・パイス紙

生まれはドミニカ共和国

今月4日にバルサへの移籍が決定したジュニオル。懸案だった左SBに逸材が加わった。(C)Getty Images

 バルセロナは8月4日、ベティスのDFジュニオル・フィルポを獲得したことを発表した。契約期間は2024年6月までの5年間。移籍金は2500万ユーロ(約31億2500万円)で、500万ユーロ(6億2500万円)のインセンティブが付与される。
 
 ジュニオルは大きなキャリアアップを成し遂げたわけだが、彼は今からほんの約6年前、エル・プエルト・マラゲーニョというマラガ地方にあるクラブに在籍していた。それが2013-14シーズンの最終節、チームの一員としてベティスのシウダー・デポルティーバ(練習場=この日の試合会場)を訪れ、ベティスのフベニールと対戦した日から彼のシンデレラストーリーが始まった。
 
 その試合、ベティスのDFはドミニカ共和国生まれで、父親に無理やり勧められてサッカーを始めたという少年のオーバーラップに翻弄され続けた。そのプレーは当然ながら関係者の目に留まり、ほどなくしてベティスへの入団が決まったのだった。
 
 現在セウタを率い、ジュニオルがベティスのBチームに在籍していた当時、監督として指導に当たったホセ・フアン・ロメロはこう語る。
 
「もう練習を二度見ただけで、ポテンシャルの高さは分かった。ジュニオルはトップクラスの選手になるために最も重要な要素である明晰な頭脳を持っている。いうなれば彼は一流のアーティストだ。だからこそ、新たなステージを駆け上がるたびに、自然に自らのパフォーマンスも高めることができる。バルサでもきっと活躍してくれるはずだ」
 
 ロメロは、パワー、スピード、空中戦の強さ、パワフルかつ正確なキックとジュニオルのサイドバックとしての長所を列挙する一方で、試合中にマークを見失うなど時折集中力を欠くことが当時からの課題と考えていた。しかしトップチームのキケ・セティエン監督から意見を求められた時にも、その無限の可能性を信じて一切躊躇うことなく抜擢を進言したという。
 
 ジュニオルのトップチームデビューは、2018年2月12日のアウェーのデポルティボ戦。ロレン・モロンの勝ち越しゴールをアシストし、チームの勝点3獲得に貢献(ベティスが1-0で勝利)するというこれ以上ないスタートだった。その翌節のレアル・マドリー戦でも1アシスト。キケ・セティエン監督はすぐさまその才能にほれ込み、ジュニオルはそのままトップチームに定着した。
 

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